今も沖縄を愚弄する西田氏「自分の言っていることは事実だ」
資料館では、学徒たちの証言や遺書、手記をもとに、米軍と日本軍の双方の行動を含めて“体験の証言”として歴史を伝えている。
例えば、第三展示室では、生存者の証言映像や米軍の記録フィルムを通じて、1945年6月18日に出された「解散命令」により、学徒たちが戦場に放り出され、多くが命を落とした事実が紹介されている。
これらの展示は、戦争の悲惨さと命の尊さを後世に伝えるためのものであり、政治的な意図や偏向は見られない。西田氏の発言は、こうした努力を否定するものだ。
さらにここから問われるべきは、「国家が主導する歴史観」と「証言に基づく歴史記録」のいずれが公に語られるべきか、という根源的な問題である。
今回の西田氏の発言は、「政治家が慰霊碑や資料館の展示内容を“検閲”する」という、民主主義において最も危うい行為と受け止められても不思議ではない。
西田氏は発言についての謝罪と撤回を表明したが、同時に「自分の言っていることは事実だ」とも語り、姿勢は二重化している。「謝罪はするが、信念は変えない」というスタイルは、保守派政治家にとって定番とも言えるが、被害当事者や関係者にとっては納得のいかない態度でもある。
「歴史は勝者によって書かれる」という言葉がある。だが、真の民主主義においては、歴史は「体験者の声」によって紡がれるべきである。
ひめゆりの少女たちは、陸軍の人員不足を補うために戦場へと動員され、犠牲となった。せめてその事実だけは、政争の具とすべきではないのではないか。
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