【アベノミクス】農協改革で農業は10兆円は伸びる成長産業に

山崎和邦© windbell0615 - Fotolia.com
 

「第3の矢」は不発か

『山崎和邦 週報「投機の流儀」』第141号より一部抜粋

安倍内閣は真剣に取り組んではいる、としよう。だが本稿で内閣発足時代から言ってきたように「成長」とは民間から出るものであって、政府が主導権を取れる性質のものではないから、日銀と財務省が内閣と一体方針になれば直ちに実現するという第1、2の矢とは全く違うものである。

但し、「農業が最大の成長産業だ」言いだしたし、「農政改革」と言わずに具体的に「(諸悪の根源たる)農協を改革する」と表現する点は大いに評価できる。問題は、“票田としての農協”にどう風穴を空けて、世界340兆円の食市場に目ざめさせるか、である。オランダの14分の1しか輸出してなくてトヨタの売り上げの1週間分しか売ってない、こんな産業は他にない。

やる気になれば10兆円は軽く伸びよう。10兆円と言えばそれだけでGDPの2%だ。

「農協改革」は「予告編の第1巻」であり「戦後以来の大改革」と安倍さんが言うのは「予告編総集編」であろう。今までの2年でできなかったことが今からできるとは考えにくいが、期待だけは持たせた。

「一昨年6月5日のトラウマ」というのがあった。

青春期相場が5月23日の前場で完結し、後場から1,000円下がって6月13日の12,445円まで3,000円幅の急落の過程のことだ。当日、「今日の午後に成長戦略を発表する」と言って期待していたら、拍子抜けして一瞬で500円暴落した件である。安倍内閣はこの「6月5日のトラウマ」が1年8カ月を経て票田は忘れてくれたと見て派手に予告編総集編をぶった。

これで支持率を維持して、本心でやりたいことは憲法改正であることはミエミエだ。なかなか旨い。

本稿が安倍内閣発足直後から憲法問題に触れてきて「唐突感がある」と読者諸賢から感想も頂いたが、1955年の自民党の結党以来、彼らの宿願で、安倍さんの祖父だった、60年安保改定を強硬可決した岸信介元首相からの遺言は唯一つ「憲法改正」である。森羅万象、何事も相場に関与しないものはない。ましてや市場人を含めた国民の個人個人を権力者から守ることを本来の立法の眼目とするのだから、憲法は重要である。成長戦略が旨く行き始めたら次に打つ手は本命の憲法である。国論を真っ二つに割って叩きあう憲法問題が株式市場に無影響の筈はない。

 

『山崎和邦 週報「投機の流儀」』第141号より一部抜粋

著者:山崎和邦(大学教授/投資家)
野村證券、三井ホームエンジニアリング社長を経て、武蔵野学院大学名誉教授に。投資歴51年の現職の投資家。著書に「投機学入門ー不滅の相場常勝哲学」(講談社文庫)、「投資詐欺」(同)など。メルマガ「週報『投機の流儀』」では最新の経済動向に合わせた先読みを掲載。
≪無料サンプルはこちら≫

KIRIN「まぐまぐニュース!」デリバリー版
まぐまぐ!の2万誌のメルマガ記事から厳選した情報を毎日お届け!!マスメディアには載らない裏情報から、とってもニッチな専門情報まで、まぐまぐ!でしか読めない最新情報が無料で手に入ります!規約に同意してご登録ください!

print
いま読まれてます

  • 【アベノミクス】農協改革で農業は10兆円は伸びる成長産業に
    この記事が気に入ったら
    いいね!しよう
    MAG2 NEWSの最新情報をお届け