もはや“自爆テロ”。老朽原発の再延長を指示した岸田文雄の売国度

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今年8月、既存原発の運転期間の再延長を岸田首相から指示された経産省。しかし彼らが上げてきた最終調整案は、まさに「非科学的極まりない屁理屈」でしかないようです。今回の『きっこのメルマガ』では人気ブロガーのきっこさんが、「稼働していなかった期間は累計年数から除外する」という経産省が働かせた悪知恵を「自爆テロレベル」と強く批判。その上で、有事の際に敵国ミサイルの標的となる国内すべての原発の即時廃炉を訴えています。

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老朽原発の再延長という自爆テロ

福島第1原発事故からずっと垂れ流し続けられている高濃度の放射能汚染水について、当時の安倍晋三首相は2013年9月、「今後は東電に丸投げせず、国が前面に立ち、私が責任者となって正面から取り組み、完全に解決いたします」と全国に宣言しました。しかし安倍首相は、その後も東電に丸投げしたまま何もせず、7年経っても放射能汚染水を止めることができず、結局、次の菅義偉首相が国会で審議もせずに「海洋放出」を閣議決定しました。

そして、この事実を踏まえた上で続けますが、岸田文雄首相は今年8月24日、脱炭素の実現を議論する「GX(グリーン・トランスフォーメーション)実行会議」で、次のように述べました。

「エネルギー政策の遅滞の解消は急務です。今後は原発再稼働に向けて、国が前面に立ち、あらゆる対応をとっていきます」

また、秋の臨時国会の冒頭、10月3日の所信表明演説では、次のように述べました。

「GXの前提となるエネルギー安定供給の確保については、ロシアの暴挙が引き起こしたエネルギー危機を踏まえ、原子力発電の問題に正面から取り組みます。そのために、十数基の原発の再稼働、新たな安全メカニズムを組み込んだ次世代革新炉の開発・建設などについて、年末に向け、専門家による議論の加速を指示しました」

岸田首相も安倍元首相と同じ経産省のスピーチライターを使っているため、「国が前面に立ち」とか「正面から取り組み」とかのフレーズは同じですが、放射能汚染水を止める気など1ミリもなかった安倍元首相とは違い、岸田首相は本気で原発推進を、とりわけ目先の原発再稼働を進めようとしています。その証拠に岸田首相は、8月24日の「GX実行会議」の直後、「原則40年だが、最長20年延長できる」と定められている現在の原発の運転期間を、さらに延長できるように規定を変更するよう、経産省に指示したからです。

もともと日本の原発を規制する機関だった「原子力安全・保安院」は、原発を推進する「資源エネルギー庁」と同じ経産省の中にあり、同じ官僚が定期的な人事異動で、規制する側と規制される側を行ったり来たりしていました。この「なあなあ」のシステムが原発の安全性のチェックを形骸化し、福島第1原発事故の原因の1つとなり、「保安院、全員アホ」という回文の名作を生む背景となりました。

 

そこで、福島第1原発事故を受けて、当時の民主党政権は、経産省の「原子力安全・保安院」を廃止し、環境省の外局として「原子力規制庁」を新設し、独立性の高い3条委員会として「原子力規制委員会」を発足させたのです。独立性と公平性を重視した原子力規制委員会は、2012年12月の総選挙で自民党が政権に返り咲き、第2次安倍政権がスタートしても、安倍首相が進めようとする原発再稼働には極めて厳しく対応していました。

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