日本人の「おもてなし自慢」の背景にある優越感とコンプレックス

 

確かに日本人は主張することが下手で、自らの意思をはっきりと相手に伝えないことで、国際社会で損をしています。だからといって、国際社会で自らの自慢話をとうとうと語っても誰も聞いてくれません。そうではなく、一つ一つのセールスポイントを客観的にネットやブログ等で「描写」してゆくべきなのです。

ここで、「描写」(description)と敢えて書いたのは、主観を押し付けるのではなく、読み手に発見してもらうように、主張を抑え、客観的な情報として人々に伝達する工夫が必要なのです。また、大切なこととして、海外の人が求めているサービスや日本で体験したいことが何なのかという個々のニーズを察知し、それに即応できるシステムを構築することも急務です。自分で自慢して空回りするのではなく、相手から来るボールを的確に受け取り、着実に相手のストライクゾーンに返してゆくことが求められているのです。

そもそも、日本人の「おもてなし自慢」のメンタリティの背景には、「日本人がそうしたことに優れている」という優越感やコンプレックスが見え隠れしています。

戦前戦後を通じていわれてきた西欧へのコンプレックスが、21世紀になってねじれた形で日本人の妙な優越感につながっているように思われます。海外にどのように見られているかを伝統的に気にする日本人が、海外からよく見られたいと焦った末に、こうした行為にでているのかもしれません。

自らをしっかりPRするためには、ロジックも必要です。海外の人が求めるものがそこにあり、だからこうしたサービスを提供しようという論理性があれば、海外の人はちゃんと耳を傾けてくれるはずです。これから、ますます海外からの訪日客は増えてゆくはずです。そうした人たちが嫌な思いなく日本を楽しみリピーターになってもらうためにも、おしつけではなく、痒いところに手が届くニッチなニーズに見合った対応を考えましょう。

そして、日本人が日本人同士で満足している「おもてなし」が海外の人には行き届いていない事例も山ほどあることを最後に強調します。ある意味で、日本は日本人にとってはとても便利な国ですが、外国人にとっては不便極まりない国なのです。

Wi-Fiの不便な国。緊急なときに英語で適切な情報を取れない国。どこに外国人でもキャッシングできるATMがあるのかわかりにくい国。そして何よりも今でも外国人お断りという不動産や宿泊施設などがまかり通っている国。

こうしたことにおいては、日本は「おもてなし後進国」なのです。

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