切実な問題。定年後も働いたら年金はどれだけ減らされてしまうか

 

まず、この人は60~63歳まで無年金期間が生じます。

ここは賃金24万円と高年齢雇用継続給付金3万6,000円(24万円×15%=3万6,000円)=27万6,000円。7月と12月に20万円ずつの賞与。

一応月収入で書いてますが、高年齢雇用継続給付金は通常2ヶ月分ごとの支給なので注意。

さて、63歳になると年金請求によりまず老齢厚生年金(報酬に比例する部分のみの年金)の支給も開始になります。63歳到達月の前月まで厚生年金に加入した分で老齢厚生年金を計算します(とりあえず460ヶ月という事で)。老齢厚生年金年額は105万円(月額8万7,500円)とします。

65歳から支給される老齢基礎年金は68万8,382円とします。60歳までの年金記録が厚生年金424ヶ月のみで計算してます(老齢基礎年金平成29年度満額77万9,300円÷480ヶ月×424ヶ月=68万8,382円)。

この場合老齢厚生年金が支給減額停止される場合があります。この人の場合は年金が停止されるのか。

まず、月給与(標準報酬月額)24万円と直近1年に貰った賞与(標準賞与額)を12で割った金額(賞与総額40万円÷12≒3万3,333円)の合計額である総報酬月額相当額というのを出します。

総報酬月額相当額27万3,333円(24万円+3万3,333円)

そして、年金月額87,500円(基本月額という)を足す。

{(総報酬月額相当額27万3,333円+基本月額8万7,500円)-28万円)}÷2≒4万,417円←月の年金停止額。

28万円というのは支給停止調整開始額という定数みたいなものです。経済状況で年度により変わることもあるが平成29年度は変更無し。

で、この人は雇用保険から高年齢雇用継続給付金3万6,000円を貰っているので更に年金が減額になります。高年齢雇用継続給付金の最大値である15%を貰っている人は最大6%の年金減額になります。

注意

厚生年金に加入していない人は高年齢雇用継続給付金を受給する事による年金減額は無し。この事例の男性は厚生年金に加入してるから減額される。

だから、24万円(実際は給与そのものではなく標準報酬月額に)に6%を掛けた、1万4,400円が年金から減額。よって、年金停止月額は4万417円+1万4,400円=5万4,817円

つまり、63歳以降の収入は月給与24万円+高年齢雇用継続給付金3万6,000円+(老齢厚生年金8万7,500円-年金停止額5万4,817円)=30万8,683円になります。だから実質、年金月額だけ見たら3万2,683円になりますね(^^;;

そして65歳到達月の翌月分から、老齢厚生年金と合わせて老齢基礎年金68万8,382円が支給され始めます(ハガキタイプの年金請求書が65歳誕生月初め頃に届くから再度請求が必要)。

また、年金が初めて支給され始めた63歳から65歳までの24ヶ月間厚生年金に加入しているから、63歳時点の老齢厚生年金より増えます。

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