乗客引きずり出し。ユナイテッド航空が犯した最大のタブーとは

 

2.従業員への手紙にあった「原因」

ムニョスCEOは、事件について同社社員に対して「Dear Team,で始まる説明を送りました。内容はCNBCなどのサイトで公開されており、私もそれを読んでみました。CNBCのサイトに掲載されている文面を読むと、ムニョス氏のメッセージ自体は大きな問題となる単語は見当たらないのですが、付属する「Summary of Flight 3411」という顛末説明の中に、「その乗客が乱暴でけんか腰(He ・・・ became more and more disruptive and belligerent.)」という表現があります。

また「適正な手続きに(同社社員は)従った(Our employees followed established procedures for dealing with situations like this.)」という言葉がメッセージには入っていました。

ダメですね。

謝罪に関していつも言っていますが、「自己正当化は謝罪ではありません。ベッキーさんは事件最初の会見(というか、一方的通達だったが)で「誤解を招くような大変、軽率な行為だった」と言い訳し、大炎上してしまいました。後日この「誤解」がウソだったとわかり、さらに炎上に大量の火薬が追加されたのです。

バレるようなウソは論外ですが、仮にそれが真実で正当だとしても謝罪に言い訳は禁忌なのです。

3.発言の代償

ちなみにムニョスCEO、良いのか悪いのかわからないタイミングで先月、PRウイーク誌のコミュニケーター・オブ・ザ・イヤー“PRWeek U.S.’s Communicator of the Year for 2017”に選ばれたばかりです。コミュニケーションの達人と業界誌が認めるような人がなんでこんなことをやらかしたのでしょうか。

またCNBCはじめ、マスコミはユナイテッド航空の危機管理能力への疑問や、この事件が与えた損失を10億ドル1,100億円以上という試算を伝えています。たかだか4人分のスタッフ移動への対応なら、一人1機ずつ特別チャーター機を用意した方が圧倒的に安くついたことになります。

被害者となった乗客を乱暴者であるかのような表現をしたことは言語道断です。しかもそうした表現を社内に向けメール発信すれば、それはまず間違いなく流出するリスクがあります。同社のような巨大企業で、社内メールであっても完全管理下におけることなどあり得ません。こうした情報流出リスクを考えない情報発信もCEOの能力への疑義となっているのでしょう。

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