トランプのFBI長官解任騒動は、第2のウォーターゲート事件なのか

 

その場合ですが、本当に「クーデター」をやるのであれば、共和党としては2018年の中間選挙の前にやって「ペンス本格政権」として選挙に臨みたいはずです。では、仮にそうだとして、タイミングとして「いつ」が限界なのかというと、多分、年末年始あたりになると思います。

年明けからの「議員候補予備選」の時点から選挙戦を盛り上げて行くには、その時点で「大統領降ろしのドロドロ」などをやっていてはマイナスだからです。そう考えると、一部に言われている「トランプ政権は年内持たないのではないかという言い方には、実は根拠があるということが言えます。

それから一つ重要な問題なのですが、実は今、トランプの運命を握っているのはプーチン」でもあるわけです。例えばプーチンが「確かにトランプ政権の中枢が秘密裏にすり寄ってきた」というようなことを言えば、トランプ政権は吹っ飛ぶからです。

ですが、アメリカ人はそういう「情けない話」は大嫌いです。「プーチンに言われて初めてトランプをクビにできた」というのは、アメリカ的な価値観からすれば最悪だからです。また、この話を裏返すのであればトランプ政権そのものが、プーチンに脅迫されて「操作」されているという見方もできます。

そう考えると、共和党の主流派、そして恐らくはペンス副大統領というのは、今現在、相当に思い詰めているのではないか、という仮説を持って臨むことは必要なんだと思います。

ちなみに、今回の苦境もそうですが、「トランプ大統領がお騒がせ状態」になると、その時には決まって「クシュナー夫妻」つまり、娘のイヴァンカと婿のジャレッドは雲隠れ」しているという報道があります。

これについても、私の全くの憶測ですが、若い二人として「親父さんをかばう」のではなく、万が一の場合には「親父さんを名誉ある辞任に誘導」して、トランプという「家名とブランド価値を守るために様々な隠密行動をしているのかもしれません。

image by: Joseph Sohm / Shutterstock.com

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東京都生まれ。東京大学文学部卒業、コロンビア大学大学院卒。1993年より米国在住。メールマガジンJMM(村上龍編集長)に「FROM911、USAレポート」を寄稿。米国と日本を行き来する冷泉さんだからこその鋭い記事が人気のメルマガは第1~第4火曜日配信。

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