こういった言葉は、相続だけではなく、意外とビジネスの場でも効果があります。同じ条件でも、会社にとってメンツが立つ、譲歩した形にならないなど、感情の部分が合意に大きく影響することがあります。
「御社にとっては、この条件が大切だと思いますので、こうしましょう」
といった説明があると、同じ条件でもよりスムーズに話を進めることができることがあります。
実際は、交渉に参加する人すべてが、なるべく自分にとって都合の良い結論を得ようとしています。それは相手も承知しているでしょう。それでも、こういった感情面を手当てする言葉は大切です。
えてして私たちは、交渉の場での感情を軽視しがち。気遣いのセリフを、意味がない、しらじらしいと考えたり、照れくさいと感じたりといった理由で省いてしまうものです。また、とくに家族や友人などには、改めてそういった言葉を入れなくてもわかってもらえるだろう、という期待もあります。
解決の糸口が見えないような激しい紛争も、きっかけは「感謝の言葉が一言でもあれば」「一度でもあのことを謝ってくれれば」といった感情面のしこりであることが多いもの。言葉足らずのまま要求を通そうとして、する必要のない衝突を起こす、もったいないケースは避けたいところです。
「心情は理性の知らないところの、それ自身の道理を持っている」 パスカル
今回は、ここまでです。
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