9月から厚生年金が値上がり。支給額がカットされる場合も

 

で、ここで考える事が出てくるんですが、この男性は日本年金機構と国家公務員共済組合からの2ヶ所の支払い機関から老齢厚生年金をもらっています。つまり、43,333円の月年金停止額を両方の支払い機関で按分して、老齢厚生年金を停止しなければならない。

日本年金機構からは老齢厚生年金70,000円で、国家公務員共済組合からは老齢厚生年金35,000円貰っています。月総額は105,000円。

ア.まず、日本年金機構からの老齢厚生年金停止額を算出。

停止月額→43,333円÷105,000円×70,000円=28,889円(1円未満四捨五入)。何を意味しているかというと、全体の年金額105,000円に対して日本年金機構からの老齢厚生年金は70,000円だから、その割合分の停止額を算出するって事。よって、日本年金機構から支払われる老齢厚生年金支給月額は70,000円-28,889円=41,111円

イ.次に国家公務員共済組合からの老齢厚生年金停止額を算出。

停止月額→43,333円÷105,000円×35,000円=14,444円。よって国家公務員共済組合からの老齢厚生年金支給月額は35,000円-14,444円=20,556円

というわけで、日本年金機構から支給される老齢厚生年金は今までは偶数月に70,000円×前2ヶ月分=140,000円が支給されていましたが、9月分から標準報酬月額が220,000円に増額した事で、年金停止額28,889円の発生により10月13日(普通は15日支払いですが来月は13日支払い。15日が日曜だから)支払いの老齢厚生年金は8月分70,000円+9月分41,111円=111,111円となり、12月15日支払い以降は41,111円×前2ヶ月分=82,222円

同じように、国家公務員共済組合からの老齢厚生年金は8月分35,000円+9月分20,556円=55,556円。12月15日支払い以降は20,556円×前2ヶ月分=41,112円

なお、停止額は標準報酬月額や賞与額により在職中は変動してくる。ただし、途中で退職したりして厚生年金加入から外れると停止額は無くなる。

※追記

国家公務員共済組合から支給される職域加算42,000円(月額3,500円)は在職による停止はかかりませんが、仮に同じ共済組合である国家公務員共済組合または地方公務員共済組合に在職中は職域加算は全額停止になってしまう。なお、遺族年金や障害年金は在職中でも停止額が適用されることは無いです。

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