日本だけが蚊帳の外。北朝鮮問題の対話路線に乗り遅れた安倍官邸

takano20180109
 

9日、2年ぶりに板門店で開かれた韓国と北朝鮮の閣僚級会談。トランプ米大統領もこの会談の開催に賛成の意を表明、さらに北朝鮮との直接対話の可能性についても言及するなど急展開を見せています。北朝鮮への圧力強化を強硬に主張していた我が国は、今後どのように動くべきなのでしょうか。ジャーナリストの高野孟さんが自身のメルマガ『高野孟のTHE JOURNAL』で探ります。

対話気運に水をかけようとする? 日本の愚かさ──朝鮮半島情勢の新展開

少なくとも、平昌冬季五輪が終わる2月25日までは、朝鮮半島で戦争が起きないことがほぼ確定した。

北朝鮮の五輪への参加問題を中心に南北関係改善について議論するため9日にも高官級会談を開くとの南北の合意に対し、米国は直ちに五輪期間中は米韓の軍事演習を行わないことを確約し、さらにトランプ大統領が6日キャンプ・デービッドでの会見で、南北会談の内容が「五輪だけにとどまらずそれ以上のものになるよう期待する。適切な時期に米国も対話に参加するだろう。そうした対話から何かが生まれるのであれば、全人類にとって、世界にとってすばらしいことだろう」と、対話全面支持とも受け取れる発言をした。

そこで問題は、五輪後もこのせっかくの対話気運を後退させずに、北の核問題の交渉を通じての解決へ向けてどう軌道に乗せていくことができるかである。ところが、日本政府とマスコミの姿勢は依然として「対話のための対話は不要。北が『もう許して下さい』と膝を屈して来るまで軍事的・経済的圧力を強化し続ける」という、何の成功の見込みもないどころか、北の暴発や不測の事態による戦争勃発を防ぐ手立てを伴わない、一本調子の危っかしいもので、その立場から、むしろこの対話気運に水をかけようとさえしているように見える。

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