在米医学博士が警告。指数関数的に増えるウイルスの驚くべき怖さ

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新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐためにわが国が取っている対策について、内外から疑問の声が上がっています。現在の東京は、感染爆発に至る少し前のニューヨークの状況に似ていて「まだ1000人だから大丈夫」という考えが命取りになると訴えるのは、メルマガ『しんコロメールマガジン「しゃべるねこを飼う男」』の著者で米国在住の医学博士・しんコロさんです。しんコロさんは、なかなか理解しにくい指数関数的に増加するということの恐ろしさを、1滴の水がスタジアムを満たすまでの時間についてのわかりやすい例で伝えています(読み進めるヒント:1滴は0.01ミリリットル、東京ドームの容積12.4億リットルが内容に近い条件です)。

NYと東京の状況

毎日コロナウイルスのニュースで疲弊している方も多いかもしれませんが、いかがお過ごしでしょうか?我が家は皆元気にやっておりますが、マサチューセッツも確認された感染者が1万人を超え、日々危険度が高まって来ています。東京も1000人を超え、これからの政治的決定と皆さんの行動が運命を決める非常に重要な段階にさしかかっていると思います。

東京が「ロックダウンはしない」という判断をしたようですが、アメリカから見ると日本はまだ問題をしっかり受け止めていないと感じています。爆発的に感染者が増えてしまったニューヨークの実態は皆さんもすでにご存知かもしれませんが、東京がニューヨークのようなことにならないことを願っています。

まだ大丈夫?が命取り

「まだ1000人だから大丈夫」という感覚がそもそもの間違いです。人間の数値的感覚はいつも「リニア(直線的)」に増えたり減ったりするものだという錯覚をしがちです。「指数関数的に増える」というものが、人間の目に見える部分にあまり存在しないからです。指数関数的に増えるというのは、例えばバクテリアが分裂して1個が2個…2個が4個…というような増え方です。

コロナウイルスの場合は1人が2~3人に移す「基本再生算数(R0といいます)」だと見積もられています。移した2~3人が、また2~3人に移すという形です。インフルエンザのR0が1.3ほどなので、移すサイクルを10回繰り返すと60人弱が感染したことになります。しかしコロナウイルスのようにR0を2~3で計算すると、10サイクル感染すると感染者の数は2000人を超えます。指数関数的な増加というのは、それだけ恐ろしいものがあります。

誰でもピンとくる例を教えます

それでもまだピンと来ない場合、こんな例があります。あなたが、野球場のスタジアムの一番後席(地上から見て高い席)に座っていたと想像して下さい。収容人数が約4万人の大きなスタジアムです。今、時間はお昼の12時です。12時ちょうどにマウンドに水が1滴落ち、その1分後は2滴、そのさらに1分後は4滴と倍々の量の水が落ちるとします。あくまでも例なので、スタジアムは水がもれない「器」として仮定して下さい。

ここで問題です。水はスタジアムに溜まり続け、いずれあなたが座っている席まで水がやって来ます。あなたは、溺れないように逃げなければいけません。水があなたの席まで届くのはいつでしょう?数日後?数週間後?数カ月後?数年後?お昼の12時に1滴から始まって、12時1分には2滴、12時2分には4滴、それを続けたらいつあなたの席まで水が来るでしょう?読み進める前にここでストップし、ちょっと想像して答えを頭の中に浮かべて見て下さい。
(チクタク…チクタク…)

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