松尾スズキの、のっぴきならない日常

松尾スズキの、のっぴきならない日常

  • 松尾さんの“のっぴきならない日常”を覗くことができる
  • メルマガ読者限定のプライベート写真を見ることができる
  • 人生相談にのってもらえる
  • 発行日:毎月 第1~第4金曜日
  • 登録料:毎月540円

松尾さんがブログを閉じられて以来、松尾さんの日記が読めなくなってがっかりしていたファンにとっては待望のメルマガスタートですね!日記は毎日書いているんですか?

毎日編集担当の北井くんに日記を書いて送ってるんですけど、書くのがだいたい昼になっちゃうんですよ。それから思い出す作業があって、しかも昼に書くとその日に起こったことはほとんど書けないんですね。だから、前日のコラムみたいな感じになってます。

もともと日記を書く習慣があったんですか?

日記は高校くらいの頃からちょこちょこ書いてはやめ、書いてはやめ、を何回か繰り返してたんだけどWebで他人が見るってことを意識し始めると、わりと根気よく続けられるし、創作するにあたって、日記はコラム書いたりするときのフックになるから、それはすごい便利だなと思って。

あれだけ書いても書いてないこともまだいっぱいあるんです(笑)。だから、日記を書くと、書いてないことを思い出すための材料にもなるしね。それがまた、小説とかに活かされたり。みなさんが日記を読んでから小説を読んで、「あ、書けなかったことはこういうふうに消化してるんだ」と思ってもらってもいいし、日記と小説と両方読むと、ひとつの出来事に厚みができておもしろいんじゃないかなって。

今、テレビブロスでも自分の起こったことをコラムとして書いてるんですけども、ツイッターもやりながら、いろんなところでワードを小出しにしてるんです。それを全部見てもらうと「あ、ここをフィクションにして、ここは事実で、ツイッターに書いてることも本当じゃないかも知れない」とか、読んだ人がいろんな楽しみ方ができるかなと思って。だから、最近は、ツイッターとテレビブロスでコラボってるところがありますよね。

ツイッターとメルマガでは、書くときの気持ちは違いますか?

それは違いますよ、やっぱり。ツイッターになると78000人くらいフォロワーがいるんですけど、その全員に向けてそこまで心は開けない。78000人みんなが「松尾さん大好き」って言ってくれるならともかく、ぼくを監視するみたいな人もいるから、ツイッターは一番油断できないメディアだと思います。ちょっと言葉尻とか編集されてリツイートされたりすると、なんかそこだけ拡大されるパターンも実際に見てるし。ちょっと社会的なことを書くとWebニュースとかに勝手に「ツイッターで松尾氏がこんなことをぶっていた」って取り上げられる。もう自由がないですね。本当に、公に向けて言葉を発してるんだっていう緊張感がないとえらいことになる。

逆にメルマガだと、本当に読みたい人だけが読んでくれる。そういう、限定された人だけが読んでくれるっていうのは、今まで一回もやったことがないんです。本当に松尾スズキが見たいっていう人がきてくれるっていうのは、ぼくが劇場でやってることと同じなので、それを文章でできるっていうのがメルマガの魅力だなと思ってます。

「猫とワタシ」

松尾さんといえば猫好きで有名ですが、猫のどんなところが好きですか?

いや、嫌いな猫もいますよ。顔が嫌い、とか、合わないやつとか。怨念にまみれたような野良猫は嫌いだし。

猫は勝手なところがおもしろいですね。犬みたいに、常にガーッとまとわりつかれると仕事にならないし。知らない間に、数時間テレビの裏にじっとしてたりもするんですよ。「虫か、お前は?」って、そういうなんかドキドキする感じもいいし、めっちゃ甘えてくるし。

メルマガ創刊号に登場したチースは最近飼い始めた猫ですか?

むかし飼ってたオロチは別れた嫁さんが連れて行っていなくなったんで、 いま描いてる猫マンガのネタにほんとに困ってきたので、飼い始めました。オロチがいなくなったあと、フィクションとしての猫は描けるけど、実在の猫については描くことができなくなっちゃったから、ずっとごまかしてきたんだけど、ちょっとごまかすのも限界だなと思って。で、自分の猫欲の限界もあって飼うことにしたんです。

猫が好きなんですね。好みじゃないのは本当にイヤなんですけどね。でぶっとしたのとか、毛の長いやつ。長毛種はだめですね。短毛種が好きだなあ。

創刊号には、ダイエットについても書かれていましたが、体型にはとくに気をつけていらっしゃるんですか?

もうちょっと減らしたいかな。僕の身長は171㎝なんですけど、BMIで一番いい体重は64キロくらいなんですよね。それだと、あと3キロ落とさないといけないんですよ。3キロってなかなか落ちないですよね。結構これでも、朝、雑炊とかつくって気をつけてるんですけど。アルコールでしょうね…。

自叙伝「大人計画ができるまで」の連載もされるということでとても楽しみなんですが、なぜ自叙伝を書こうと思ったんですか?

…うーん。やっぱり、大人計画っていうのは業界の中でも珍しい集団だなっていう自覚があって。いわゆる普通の芸能事務所でもないけど役者は抱えていて、そこで芝居も制作して、っていうのはなかなかない。「業界内のガラパゴス」って言ってるんですけど、珍種ばかりがいる。そういう集団が、いまこの芸能界に存在してるっていうのは奇跡的だとまで言われることがあるんです。要するに、大きな芸能プロダクションに取り込まれない、と。だから、それが一体どうやってできたのかっていうのは、いろんな偶然もあったり、苦労もあったり、宮藤(官九郎)の活躍があったりとか。僕の持ってるアングラ性と、いわゆるポップな感じと、しかもそれで一企業として成立している状態ってすごく興味深いと思うんですよね。それが何ででき上がっていったのかっていうことと、もしそんな集団を目指したい人がいたら参考にしてみて下さい、という感じです。

個性派ぞろいの集団をまとめるのは、やはり大変ですか?

初期は大変だったけど、今は楽ですよ。各々の自由をある程度認めながらやってるから、みんなもそんなに不満もないみたいだし。

松尾さんは、作家、演出家、俳優、映画監督な、マルチな顔をお持ちですが、どうやってスイッチの切り替えをしてるんですか?

単純に場所を変えたりとか、ホテルに泊まったりとか、それで何かこう、環境をちょっと変えてみたり、サウナ行ったり、ま、そんな程度なんですけどね。

今年の前半は役者の仕事ばっかりやってたんで、いま作家の仕事に戻ってるんですけど、なかなか切り替わらないんで大変ですね。

自分はやっぱりバランスよく、俳優の仕事があれば演出の仕事があり、書き物の仕事がありっていうふうに、回すのが一番健康的だなって思いました。たぶん、若い頃に比べて集中力が落ちてるからだと思う。「ワーッ」って小説に入る初速がなかなか起きてこなくて…。

メルマガで人生相談も始められるということですが、ふだんから人生相談を受けることは多いですか?

人生相談っていうよりも、相談。「人生とは何ぞや」みたいなざっくりした質問はないですけど、ちょこちょこ俳優とかからは「どうしたらいいですか?」って聞かれるのは多いですね。

相談すること自体が目的っていう、泥沼みたいな人もいますけど、相談に乗って楽しいと思わせてくれるような人がいるといいですよね。メルマガでは人生相談っていうより、Q&Aみたいになればいいなあ。

松尾さんにとって、座右の銘はありますか?

そうですねー。うーん…。特にない。座右の銘みたいなのを持ってしばられるのがいやなんですよ。ふにゃふにゃしていたい。

松尾スズキさん

どんなメルマガにしたいですか?

メルマガはツイッターと比べて射程範囲が狭い。ツイッターがテレビなら、メルマガは劇場っていう感じ。このメルマガを通して、劇場に見にきてくれるお客さんを相手にするように文章を届けたいですね。

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松尾スズキさんプロフィール

1962年福岡県生まれ。「大人計画」主宰。作家、演出家、俳優、映画監督、脚本家。『ファンキー!~宇宙は見える所までしかない~』で第41回岸田國士戯曲賞、第38回ゴールデンアロー賞演劇賞を受賞。初の長編映画監督作『恋の門』が、ヴィネツィア国際映画祭(2004年)に正式出品される。小説『クワイエットルームにようこそ』が、第134回芥川賞候補作となり、 自身が監督・脚本を務め映画化。映画『東京タワーオカンとボクと、時々オトン』の脚本で、第31回日本アカデミー賞最優秀脚本賞を受賞。作・演出を手がけた舞台、多数。エッセイ・コラム・小説・戯曲などの著書、連載多数。

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