佐谷恭の「パクチー起業論」~パクチー麺プレゼント付き~

佐谷恭の「パクチー起業論」
~パクチー麺プレゼント付き~

  • メディアから注目を集めるコツや口コミが広がる仕掛けが学べる
  • パクチー麺のプレゼント付き
  • 直接メールでメッセージや質問を送れる

まずは、簡単な自己紹介をお願いできますか。

株式会社旅と平和代表取締役、パクチー料理専門店『パクチーハウス東京』の創業者、東京で最初のコワーキングスペース・PAX Coworkingの運営者、そしてシャルソン(※)、つまりソーシャルマラソンの創始者です。

佐谷恭さん

「旅と平和」という社名はとてもユニークですが、どうしてこのようなネーミングにされたのですか?

旅人が平和を作るという考えからです。

その人がいるコミュニティ以外、たとえばほかの会社の人とのつながりだとか、仕事以外に趣味のネットワークがあるとか、一番わかりやすいのは国境を越えるということだけど、自分の常識が通用しないところのことを知っている人っていうのが増えるということは、他人の気持ちがわかる人が増えるということですよね。「ああ、こんなことしたらあの人困るよな」なんて考えられる人が増える。

たとえば、僕は過去に何ヶ月かイランに行っていたことがあるんですけど、仲良くなった人が何人かいるので、「アメリカがイラクの次に攻撃するのはイランだ」なんて聞くと、「ちょっと待てよ」と思うわけですよね。この時点、「友達がいるからやめろ」っていうのはただの感情的な意見にしかならないかもしれないけれど、こういう人がどんどん増えることによって、それは単なる感情的なものを越えてストッパーになり得るだろうし。

物を買うにしても、「あの国の労働者が搾取されながら作らされたものだ」とか「あの国で子どもが働かされて作られた製品だ」とわかっていたら買いませんよね。とにかく視野を広げることで、そういうこともできる。だから、旅人や、いろんなものに興味を持って見る人が増えると世の中が良くなるんじゃないかって。

この「旅と平和」の論文を、イギリスにいるときに書いたんですよ。もっとも、アカデミック論文っていうのはいろんな主張をつなぎ合わせて作るゲームみたいなものだから、今はそれを命題に事業をする、事業を通して実証していく過程にあるんです。「旅をする人を増やすっていうことと、そういった感覚が重要なんだよ」ということを伝えて、その力で世の中を動かしていくというのが会社を作った目的ですね。

※参加者同士がふれあい、SNSなどの交流サイトでつながり合うマラソン大会
http://paxihouse.com/blog/social-running/

それではパクチーハウスについてもお聞かせください。なぜパクチーという好き嫌いがはっきり分かれる食材を選ばれたのですか?

パクチーって、好き嫌いがハッキリする、かつ「嫌い」って言っても許されるでしょう?でも「きゅうりが嫌い」って言ったら、「なに言ってんだよ、子どもじゃないんだから好き嫌いするなよ」って言われますよね。それが、「俺パクチー嫌いなんだ」って言っても、「え?おいしいのに」という人はいるけれど、誰もとがめはしない。それはすごいことじゃないですか。国で言うとインドなんですよ(笑)。好きか嫌いかハッキリしている、みんなそれを言いたがる。そしてそういうものって、メディア化できるんですよ、ブランディングが。

インドに関して言えば、エキゾチックとかいろんなキーワードはあるんだけど、世界中の人は「インドは好きか嫌いしかない」とかって思ってるわけです。でもそれはブランディングのようなものですよね。「あの国はこうだよね」って言いたがる人が多くて、好きか嫌いかがはっきりしていて、だからインドって人気があるんですよ。

それに近い野菜が、いや、野菜と言うか雑草と言うか草って言うか食べ物って言うのがパクチーなんです。だから本当に助かりますよ、パクチーが嫌いな人が「こんな店絶対に行きたくないよ俺は。でもお前行ってみれば」って、ネットでお店にリンクを張ってくれる。2007年11月20日のパクチーハウスオープン時にJ-WAVEが「パクチー料理専門店ができましたよ」って放送してくれたのでその後すぐにブログ検索したら、「もう信じられません、こんなお店を作るなんて」ってリンク張ってくれてる(笑)。パクチーが好きな人は「絶対行きたい!」とか書いてくれて、リンク張ってくれるし。

だから僕は、パクチーハウスを作るずっと前から「パクチー狂会」っていうのを作って、「パクチーはメディアだ」って言っているんです。

周囲には開店前から「ありえない」と言われていたそうですが。

今でも「ありえない」とか「飲食店じゃない」とか言われているけど(笑)、現に飲食店だしありえているのでどうでもいいんですけどね。

ありえないどころか繁盛店になった秘訣はどこにあったのでしょうか。

しつこいからじゃないですか(笑)。やめないし諦めないし。あと、意識しているのは、大衆受け広告を打とうと思わないこと。「こういう人に来てほしいな」っていうときに、漠然と「20代男性」とか「30代の女子」というのではなくて、「あいつ来ないかな」っていう具体的な個人をイメージするんです。「今日来たお客さんは次はいつ来るかな」ってイメージして、それに基づいて販促なり何なりをする、ということですね。

たとえばブログってみんなに見てほしいんだけど、でも書くときに頭に思い浮かべるのは、個人だったり。別に「◎◎君へ」って書くわけじゃないんだけど、そういう明確なイメージを持って書くと、◎◎君と同じようなことを考えているほかの人に伝わるんです。こんなふうに、丁寧に一つ一つ積み重ねるっていうのが一番大事かなって思います。

もっとも、うちはテレビやラジオで400~500回取材を受けているので、それが良かったってこともあるかもしれない。でもそういうのを見て、行こうかどうしようかって時に最終的な判断基準になるのは「この店は自分に関係あるから行ったほうがいいんじゃないかな」ということだと思うので、個別にメッセージを発信するような気持ちで人に伝えていっています。

100店舗とか200店舗とか持ったらそんなことはやってられないんだろうけど、一つ一つ、「今度来てよ」って呼ぶのがすごく大事じゃないかと。だから僕はどこかのお店に飲みに行った時や何かの集まりがあるときには、周囲にいる人に積極的に話しかけて、「こういうお店やってるから来てよ」って、必ずやっています。

そうして話しかけたりできるということですが、佐谷さんは人見知りなどはしないタイプの方なんですか?

人見知りですよ(笑)。なんていうかな、いづらい場所が多いんですよね。パーティなんかに参加しても、ほかのみんなはかたまって仲良く楽しそうだなって思っちゃうわけですよ、ちゃんと仕掛けがないと。

だから僕はパクチーハウスでは、一人で来た人が楽しめるように直接話しかけるし、この場所にはいろんな人がいますよってことを伝えています。そういうことが大事だなって思っているので。

旅をしている時には、アジアでもヨーロッパでもそうですけど、同じコンパートメントに乗ったら挨拶ぐらいはするし、それからちょこっと話したりもします。「ご飯が食べたいんです」って言ったら「食堂車があるよ」とか「次の駅に着いたら売り子が来るよ」なんていう情報交換をしたり。でも今の日本では、なんでもないことを普通に話すっていうことがないなと思うんです。

だからそういうのが自然に、気軽に生まれるようにしたら、「失われた20年」っていわれている閉塞的な社会が少しは変わるんじゃないかなと思って。自分の店でパーティする時はそういうことを意識してやっています。

今ではそのパクチーハウスをはじめいろいろな展開をされていますが、今後、やってみたいことはありますか?

やってみたいことがあったらすぐにやるんだけど…、LCCを作りたいっていうのはあります。船とか飛行機とかやりたいですね。やりたいけどどうしていいか分からないのでまだやってない。

飲食店とLCC、ずいぶんかけ離れているように感じるのですが。

まったく一緒なんですけどね。これまでに路線がなかった地点同士をつなぐとするでしょ?そうすると人が行き来するようになって、いろんなコミュニケーションが生まれるはずだと思っているので、だから作りたいと思っているんです。

コワーキングスペースを作ったときも、飲食業とオフィス業ということで、「なんか関係ないこと始めましたね」みたいなことを言われたんですけど、もともとパクチーハウスで出会った人同士が会社を作ったり一緒にビジネスを始めたりということがあって、そこから発想が生まれたんです。“交流するオフィス”というか“パーティするように仕事する”ということなので、パクチーハウスとコンセプトの部分はまったく同じ。

みんなは勝手に“業種”っていうのを信じているだけで、僕にとってはそれは関係ないんです。人と人をつなぐ、交流するというのがあって、それが食事の場所であったり仕事をする場所であったりするだけで。僕がやりたいのは“こことここをつなぐ”ということなのですから(笑)。

なるほど。そんな佐谷さんが普段の生活で大事にしていることがあったら教えてください。

焦らないようにしています。今でも決して余裕を持って生活できているわけではないんですけど…、そういうふうになろう、なりたいなと思って。それを目標にしています。

それでは、メルマガに関してお聞かせください。どのようなメルマガにしたいと思っていますか?

基本的には、自分が考えていることをどんどんどんどん伝えていきたいですね。その上で、自分がやったことによって起こった結果、特に人のつながりを作るのが好きなので、それがどういうふうにできていくかということをいろんな人に見てもらって、かつ読んだ人も含めて、関心のある人同士がつながってほしい、というのがメルマガを書く究極的な目的です。

どんな人に読んでほしいですか?

視野を広げたい人とか、いろいろチャレンジしたい人に読んでいただくといいと思います。

佐谷恭さん

最後に、読者にメッセージをお願いします。

読んでくださる人と直接話をするのがメルマガを出している目的でもあるので、ぜひ購読だけではなく、パクチーハウスに来ていただくとか、もしくは僕を呼んでください。頑張って行きます。交通費が出れば喜んで行きます(笑)。出なかったら、機会を見つけます。

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佐谷恭さんプロフィール

株式会社旅と平和・代表取締役。幼い頃から積極的に国際交流をし、京都大学総合人間学部在学中に旅を始める(訪問国数 約50カ国)。「旅と平和」をテーマにした論文で、英国ブラッドフォード大学大学院(平和学専攻)修了。 富士通で新卒採用の責任者を務め、リサイクルワンの創業期にセールスマネージャーとして会社の立ち上げに貢献。ライブドア報道部門の立ち上げをリーダーとして率いた。人づくりと組織作りの経験を生かし、「旅と平和」の事業化に取り組んでいる。 世界初のパクチー料理専門店・パクチーハウス東京、東京初のコワーキングスペース・PAX Coworkingを運営。コミュニケーションのある空間をゼロから生み出してきた。著書に『ぱくぱく!パクチー』(情報センター出版局, 2008)、『つながりの仕事術「コワーキング」を始めよう』(洋泉社, 2012)、『みんなで作る パクチー料理』(スモール出版, 2012)

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