佐高信の筆刀両断

佐高信の筆刀両断

  • マスコミでは流れない情報を知ることができる
  • 思考の咀嚼能力が鍛えられる
  • 直接メールでメッセージや質問を送れる
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突然ですが、佐高さんが今一番気になるのはどんなことでしょうか。

このままだと日本は孤立してしまうのではないか、ということですね。かつて日本は、自分だけの狭い考えでほかの国と渡り合い戦争への道を突っ走ってしまったわけだけど、それと同じことになってしまうんじゃないか。安倍さんが首相になってからそのスピードが特に増していて、いわば独善主義に陥ってますよね。

軍事力で他国を支配しようとするのがタカ派で、文化交流や経済活動などで他国と仲良くしていこうっていうのがハト派ですが、自民党の中にもタカ派とハト派があったんです。けれども小泉さん以来、首相はずーっとタカ派になっちゃってますよね。そういう流れの中でますます日本の独善性みたいなものが浮かび上がってきて、メディアも批判する力をどんどん失ってきている。そこに凄い危機感を持ってますね。

メディアに関していうと、特にNHKの会長になった、三井物産出身の籾井って人がね、「政府が右っていうものを左っていうような放送はできない」と発言しましたよね。しかしメディアっていうのは政府に対する批判が命なんですよね、だって言ってることをそのまま流したらPRなんですよ、放送でなくて。そういうことがわからない人がNHKのトップになっちゃったんです。で、今NHKは政府の広報になっちゃってるんですよ。それが一番ひどい。民放は民放でスポンサーのお金で押さえられていると。だから変なお笑いと食べ物の番組ばっかりでしょ?私は集団的自衛権行使反対の集会なんかを主催する側でもあるけれど、かなりの人数が集まっても、どこも取り上げません。取り上げられないんですよね。

では佐高さんが公に発言なさったり文章を書く際に一番大事にしていることを教えてください。

佐高信さん

固有名詞をちゃんと書くこと。固有名詞で批判すればむこうも逃げられないでしょ?こっちも逃げられなくなるんだけれども、それはこれからも続けていきたいと思います。きちんと固有名詞を出さない人っていうのは、自分に対して返ってくるのが怖いからなんだよ。まあ私の場合は半分破れかぶれみたいなところもあるんですがね(笑)。

神田に事務所があるんですが、そこにいるのは私一人です。「事務員さんとか秘書みたいな人を雇わないんですか?」ってよく聞かれるんだけど、そこには右翼なんかも来たことあるんですよ。つまり危ない目に遭う可能性があるということです。私は覚悟しているからいいけども、事務や秘書の人をそんな目に遭わせるのは申し訳ないでしょ?だから身軽にして戦うというところかな。

名前が売れてくると秘書置いたりして偉そうにしたがる人が少なくないんだけど、そういう人はだいたいひっくり返っていくね。猪瀬直樹なんかもそうだよ。あ、猪瀬の名前出しても大丈夫だから、散々書いてますから(笑)。

猪瀬のことはけっこう昔からよく知ってるけど、秘書を何人も置いてね。そうすると余計に稼がなきゃいけないわけで、コマーシャルなんかに出たりもしていた。元々はけっこう批判的だったんだけど、やはりおかしくなっていくんですよね、お金のことに縛られると。

私は猪瀬のことを「本物のニセモノ」だってずっと書いてきました。都知事選であいつに投票した430万人の都民は、「騙された!」と思ったんじゃないですかね。でも、騙される人っていうのは「いい人」なんじゃなく「アホな人」なんですよ。だから猪瀬に投票した人は、「猪瀬という人物のニセモノ加減を見破られなかったアホ」っていうのをずーっと背負っていかなきゃダメなんですよね。「猪瀬はダメだったけど舛添はいいですよ」っていう人もいるかもしれないけれど、似たようなもんですよ(笑)。

都知事選に限らず選挙については、年々「誰に投票したらいいのだろう」という悩みが大きくなってくるんですが…。

私が今、一番変えたいのが選挙制度でね。いろいろ運動もしてきたんだけど、新人が出てこられない制度なんですよ。石原慎太郎の息子みたいな2世3世ばっかりでしょ?

それから、なんで安倍がこれだけ力を持っているかっていうと、小選挙区制だと一つの選挙区から一人の選出だから、党の推薦を取らなければ当選できないわけで、その推薦する権利っていうのを総裁が持っているんです。だからみんな総裁にはものを言わない。

その前は、たとえば一つの選挙区から3人が当選するといった中選挙区制だったんですが、その選挙区の少数の声、30%ぐらい取れれば当選できてたんです。だから野党の人もいたわけ。

それが現行の小選挙区制だと、トップじゃないとみんな死票になる。だからほとんど野党がいなくなるわけですよね。私は「そんな制度はおかしい」と田中康夫なんかと一緒に本当に反対したんですよ。今は反省しているみたいだけど、当時小選挙区制を推進した田原総一朗さんとかニュース23のアンカーの岸井成格、あれは私の大学ゼミの同期なんですけど、彼らに「お前ら戦犯だ!」って言ってます。

小選挙区制を導入すれば、選挙にお金がかからなくなるし自民党の候補者同士でバッティングしなくなるっていう話だったんだけど、さっき言った「自民党内にもタカ派とハト派がいた」わけなんですが、威勢のいいことだけを言うタカ派だけになっていくわけですよ。だからハト派の声が聞こえなくなると。

もうひとつ、小選挙区制っていうのは二大政党を作って政権交代が起こりやすくなる制度だってことで、民主党の菅直人だとか鳩山だとか岡田だとか、あるいは今は党にいない小沢一郎なんかが中心になって「自民党を倒すためにも導入」なんてことを言ってましたが、そもそも二大政党制というのはその二つが似てくるんです、必然的に。今、自民党と民主党ってほとんど違いがないんでしょう。

それは二大政党制の本場と言われるアメリカでもイギリスでも同じことで、たとえばイラクへ攻撃を加えるという時に、どちらの国の二大政党も賛成なんですよ。それに反対するにはどうしたらいいかというと、デモで意思表示するしかないわけでしょ?両国で凄い反対デモが起きたんですが、ダメだった。けれどもその後、イラクに大量破壊兵器はなかったし、おかしな攻撃だったっていうのがわかりましたよね。

日本も小選挙区制の結果二大政党制になりはしましたが、その欠陥が今でているわけです。少数派の声が上がってこなくなるし、国民の声が国会の議席数と違ってきています。これは大変な問題で、中選挙区制で1選挙区3人ぐらい選出っていうと、頑張っている主張をしている候補者がすっと当選できたし、新人でも入れる可能性があったんだけど、今はすごく難しくなってますよね。

なるほど。そんな佐高さんはまぐまぐの個人ページのメッセージに、「活字にならなかった本当の想いを届けなければと」と書かれていらっしゃいます。どういったメルマガにしたいとお考えですか?

今年2月に打ち切られたサンデー毎日のコラム、15年間の連載期間中にも編集部から「ここはちょっと弱くしてください」なんて言われたことが何回もあったんですね。そういう規制がかかっていないものを届けたいと思っていたんですが、そういう意味ではメルマガはぴったしだなと思いまして。タブーというものに挑戦するのが本当のジャーナリズムだと思うんですが、雑誌の編集部にも多分いろいろあるんでしょうね。そういうものを突破するという意味で、どんどんアブナイことを書いていきたい。あ、「アブナイ」ってカタカナにしてください(笑)。

そんなアブナイメルマガ、どんな人に読んでほしいですか?

佐高信さん

やっぱり若い人に読んでほしいですよね。たとえば「戦争になんてならない、自分が戦場に行くなんてことは考えていない」と思っている人がほとんどだろうけど、そうじゃないんですよね。安倍なんかは自分で行くわけじゃないから威勢のいいことばかり言ってるけど、この流れで戦争になったら、若い人が行かなきゃならないんですよ。だから若い人にいろんな声を届けたいと思いますよね。

私の本の読者ってほとんど年配の方だけど、この間街を歩いていたら学生みたいな若い二人が通りすがりに「あ、佐高信だ、じじいだね」って言ったんだ(笑)。でも、知っていてくれているだけまだいい。そういう人に読んでもらいたいですね。

では最後に読者にメッセージをお願いします。

テレビっていうのは流動食だって私は言ってるんですが、それに対して活字っていうのは固形食ですよね。流動食ばかり摂っていると思考の咀嚼能力が発達していかない。テレビはつけたらサッと情報が流れてくる受け身のメディア、本は自分で選ばなきゃならないっていう主体的なもの。受け身の人生っていうのは操作されやすいものです。だから主体的な人生を送るために私のメルマガが参考になればと思います。受け身でない人生を歩いてほしいと思いますからね。まして安倍にコントロールされちゃたまらないでしょ(笑)。

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佐高信さんプロフィール

1945年生まれ、山形県酒田市出身。高校教師、経済雑誌の編集者を経て評論家となる。経済、憲法、教育など現代日本について辛口の評論活動を続ける。著書に『保守の知恵』(毎日新聞社)、『未完の敗者 田中角栄』(光文社)などがある。

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