入江悠presents「僕らのモテるための映画聖典」

入江悠presents「僕らのモテるための
映画聖典」

  • 『SR サイタマノラッパー』の最新情報が手に入る
  • 映画制作の現場を知ることができる
  • 直接メールでメッセージや質問が送れる

そもそもメルマガを始めたきっかけは?

「サイタマノラッパー」というシリーズ映画をインディペンデントで撮ってまして、3を作るにあたって1・2で蓄積したノウハウ、映画と音楽など映画から派生したものをまとめようと思っていたんです。書籍案とかもあったんですが、メルマガだと本よりも速くファンに届けられるという魅力があったので始めました。

今回はメルマガの収益が全て制作費に充てられるということですが、これは新しい試みでは?

最近は目標金額を決めて募金を募るサイトなどもありますが、提供した対価としてお金を稼げるというのが魅力でした。メルマガだとこっちで発信する内容に対し、購読料としてお金を貰うというのがすごくまっとうだと思ったんです。

サイタマノラッパーはブログ、HP、ツイッターなどのメディアもあります。メルマガはどんな位置づけになりますか?

映画の宣伝ってチラシとかCMとかを打つのが普通だと思うんです。僕らは予算もなかったので、ツイッターやSNSなどを活用していったというのが実のところですね。でも、まず人ができないことをやりたい。インディペンデントなのでフットワークを軽くやりたい。新しいことで面白そうなことは全部やりたい。という思いがあります。

今回が3部作の最後ということですよね。どんな映画に?

サイタマノラッパーは夢と現実を描いた作品で、1が埼玉、2が群馬、3が栃木というのは決めていました。今回はその集大成になります。インディペンデントでやるにはスケールが大きいので人もお金もかかります。今までの規模を超える、それこそ普通の映画だったら1億かかるようなものを僅かな制作費でやろうとしています。

それこそ、小道具もファンから募集したりしてます。出演者の靴とか、どうしても必要な小道具はメルマガの収益でも買うんですが、撮影が終わった物はプレゼントするという企画もやります。3から見る人も楽しめる、1から見てる人はより楽しめる作品にするつもりです。具体的な情報はメルマガで出していきたいと思っています。

入江悠さん

地方都市にこだわる理由を教えてください。

僕自身、横浜で生まれすぐに埼玉に引っ越したんです。でも、どうしてもずっと神奈川や東京への憧れがあり、そうやって育ちました。その憧れの反動ですかね。サイタマノラッパーに関しても意地でも東京に行かないみたいなのがあります。

独特の文化があるので、映画の公開にあわせて地方都市に行った時とかも面白いんですよ。地方の人たちってもう情報の差はなくなってきてますし、東京第一主義ではないのかもしれないですね。実際、地方のほうが住みやすいところもありますし。

僕自身、東京と埼玉を行ったりきたりしてます。テレビの仕事とかPVの仕事があったら東京に住んで、終わったら帰ってという感じです。その貯金を使って作っているのがこの映画です。まあ自分のやりたいことを優先しているんで良いんですけど。今はメルマガという大きな武器もありますし。

今回が本当に最後なんですか?

一応3部作の最後です。やっぱり映画だと1年とかかかってしまうんですよ。でも別のやり方ではできるかなとも思ってます。深夜ドラマでも良いですし、ラジオドラマでも良いですし、色々形はあると思いますよ。

映画が完結してしまうと、メルマガも終わってしまうんですか?

いや、できる限りやりたいですね。書いている内容も音楽と映画の関わりとか、作品自体が終わっても続けられることですし。映画公開しても続けられると思います。

だんだんサイタマノラッパー2、3になるにつれ、キャラが加速していくんですよ。映画の中ではそうでもなかったのが舞台挨拶とか重ねていく中でどんどんキャラが過剰になっていく。テックという釣りラッパーも実際はただの会社員ですからね。それがメルマガでコーナーを持つまでになったのはスゴイと思いますよ。

メルマガを出すにあたっての反響はありました?

ツイッターでの反響が大きいですね。ファンの方も一緒に作ろうという感覚を持ってくれているようで、みんなが作り手のような一体感があります。昔と違い、単に映画を見せるというだけでなく、生まれるところから立ち会うというのを楽しんでもらっている気がします。

メルマガでしか知ることができない情報が多いですよね?

主人公とかサブタイトルとか発表したのはメルマガが最初ですからね。ニュースサイトとかもあるんですが、僕らの場合はメルマガ優先ですね。メルマガを購読してくれてるファンに届けるという姿勢でやっています。一番応援してくれてる、一番近いファンに届けたいんです。僕の妄想ですけど、ファンがそれを伝聞のように伝えたり、色んな情報が飛び交ってくれたら嬉しいですね。メルマガに大事な情報が出るというのが定着して欲しいです。

ボリュームも多いですよね?

もうちょっとたまにはライトでも良いかなとも思うんですけどね。締め切りが毎週ですからね。みんな締め切りを守らないんですよ。けっこうなリスク抱えてますよ、これは。でもこのメルマガという新しいメディアの使い方、フットワークの軽さ自体がサイタマノラッパーっぽいと思うんです。普通だとメルマガでも、書いた物を、映画会社や事務所がチェックしてというのが普通だと思うけど、サイタマノラッパーは違います。基本的に瞬発力優先でやってます。

僕もメルマガでは一筆者として近況報告や地方都市文化論「サイタマ辺境論」を書いています。最終的にはなぜ僕が埼玉を題材にしているのかも書いて行きたいですね。

メルマガの中で、入江監督お気に入りのコーナーは?

テックの釣りコーナー、好きですね。あとはモテキの音楽とかもやっている映画監督の岩崎太整が映像にどう音楽を乗せるかというのを書いている「本日天気晴朗、波四拍子」というコーナーがあるんですが、これは映画を作る人間にも音楽を作る人間にも良い勉強になると言うか、作り手のネタばらしを見るような感じで面白く読んでます。

映画には著名人の方のファンも多いですが、メルマガにご登場してくださる予定などは?

宇多丸さん、水道橋博士さん、いとうせいこうさんなど、前々から作品を気に入ってくれている方々には後々、対談などで出て貰えたらと思っています。映画が完成に向かうにつれ、もっと盛り上げたいですね。メルマガは北関東の文化圏とか映画と音楽など、ある種アカデミックなことについても書いているので、外部の視点は欲しいところです。

このメルマガをどんな人に読んでほしいですか?

「まだ何者でもないけど、ものづくりをしたいと思っている人」ですね。映画でも音楽でもいいんですが。僕らも最初は5人ぐらいで映画を作り始めたんですよ。で、集まってみたらできるし、届けようと思ったら届くんです。なので、こういった試みそのものも届けば良いなと思っています。

入江悠さん

最後に読者の方に一言お願いします。

僕らはこれからもメルマガでしかできないことを届けていきたいですね。3に出てくるキャラのインタビューとかも他のニュースサイトではできないけど、僕らはできますからね。ちなみに、サイタマノラッパー3は新キャラも数多く出てきます。読めば読むほど3が楽しみになるメルマガになっていると思いますよ。続きはメルマガでといったところでしょうか。

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入江悠さんプロフィール

1979年、神奈川県横浜市生まれ、埼玉県深谷市出身の映画監督・映像作家。日本大学芸術学部映画学科卒業。大学在学中より映画や映像作品の制作を始め、短編『OBSESSION』(02)と短編『SEVEN DRIVES』(03)がゆうばり国際ファンタスティック映画祭のファンタシティック・オフシアター・コンペティション部門に2年連続入選。2006年に初の長編映画『JAPONICA VIRUS』が全国劇場公開。2009年ゆうばり国際ファンタスティック映画祭で『SRサイタマノラッパー』がファンタスティック・オフシアターコンペティション部門でグランプリを受賞。第13回富川(プチョン)国際ファンタスティック映画祭NETPAC AWARD(最優秀アジア映画賞)受賞。第50回日本映画監督協会新人賞受賞。現在の最新作は『劇場版 神聖かまってちゃん ロックンロールは鳴り止まないっ』。

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