美食の王様 来栖けい “くぅ喰う日記 ~limitation~”

美食の王様 来栖けい
“くぅ喰う日記 ~limitation~”

  • 本当に美味しい店&料理がわかる
  • レストラン「エキュレ」で読者特典がある
  • 直接メールで、質問やメッセージが送れる
  • 発行日:毎月 11日・26日
  • 登録料:毎月972円
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食に興味を持ち始めたきっかけは?

元々うちの両親が食べることが好きだったので、その影響が一番あるのかなぁとは思いますね。どうでもいいものを10回食べるよりは、本当に美味しいものを1回食べればいいという考え方の家だったので、普段は質素な生活してても、お金が貯まるとそれを食に使ってたんですよね。5歳の時にフレンチのデザートでドーム型の飴細工が出て、その光景が僕は未だに忘れられないっていうか。食に興味を持った最初がそれですよね。ドーム型の飴細工が宝石みたいだったし、しかもその宝石みたいなのが食べられちゃう訳ですよ。小さい頃の僕にしてみれば、あり得ない話ですよ。「なんだコレ?これで食べられるの?」みたいな。

始めにそのフレンチにいったのはなぜ?

うちの祖父が、結構ハイカラな祖父なんですよ。ピッツァとかパスタとかもすごい好きだし、フライドチキンもすごい好きだし。その時も親から聞いた話ですけどね、どっかで食事をした後にたまたま「こんなところにこんな店あったっけ?」って見つけて、でも、もう遅い時間で、ダメもとで、「デザートだけでも大丈夫か?」聞いたらしいんですよ。本当はやってなかったんだろうけど「ああ、いいですよ」って言ってくれて、そこから通うようになったらしいんですよ、その店に。今はその人とも繋がりはあるんです。それがきっかけとなったって話もTVでしたりすると喜んでくれます。
未だに両親はいろんなところに食べに行ってますよ。どこか行くっていうと必ず食べる何かがあるところに行ってた気がしますね。

来栖けいさん

そこから食の仕事に就いたきっかけは?

きっかけ??なろうと思っていたわけじゃ全くないし、これはもう、自然の流れなのかな? たまたま学生の頃からずっといろんなところ食べ歩いていたりしてて。別にお金がある訳じゃないんだけど、うちの親と同じ感覚でお金が貯まるとそれをすべて食に使ってたんですね。高校生とかで15000円の服買っても誰も何も言わないじゃないですか。それが15000円の料理たべましたっていったら、周りは特別な目で見ますよね。食にお金をかけるって贅沢に思われがちなんですけど、僕に言わせたら「同じ15000円じゃん」って思う訳ですよ。
食にお金を使う同年代の人がいなかったから、一人で行くことがすごく多くて、目立つんですよ、僕。注文仕方も特集だし、見た目も若いし、すごく目立つんですよ。それで、こんな人がいるってのが出版社の耳に入って一回会いたいって話になって、それでいきなり本の話だったんです。

本書きましょうとなったら、そっから情報を集めるとかなるけど、僕って本を初めて書いたときだって、蓄積だけで本を書いてるんで。別に本を書くために集めてた情報じゃないけど、それは好きなことだから。昔から、まとめてたんですよ。

レストランノートがあったんですね?

そう、自分でね。その時も過去の記憶だけで本を書いたんで、そっから改めて、本を書くから、じゃここに行こうっていうのは全くなかったんですよ。結局蓄積の中だけで書いたんですよ。だからそのスタイルっていうのが僕にとっては自然で、記憶だけで書いてるから。今もそうなんですよね。僕のスタイルって人とはまったく違うスタイルで書いてて。そもそも世の中の人、僕のことを未だに勘違いしてる人がすごく多いんですけど、僕ってライターでもないし、別にジャーナリストでもないんですよね。僕の立ち位置ってすごく難しいところではあるんですけど。これが一歩間違ったら仕事になんないんですけど。普通はこういったものって、お店に取材しに行って、話を聞いて、文章を書くじゃないですか。でも、僕は普通に食べに行って、そこで自分が素直に感じたことだけ書く訳ですよ。だから、話をもっと聞けば、もっと深く書けるのかも知んないけど、僕にとってそれは必要ないんですよ。僕は自分が食べたままのそこで僕が感じたままのことを書くスタイルなんです。
しかも普通、取材する人でも何だって、書こうと思ったら、食べてすぐ書きますよね。
僕は全く真逆なんですよね。僕は、食べ終わったらしばらくほっぽっとくんですよね。他の人がすぐに書く理由っていうのは忘れないっていうのもありますけど、後は実際に締め切りのこととか、今旬のものを伝えるためにとかあると思うんですけど、僕の場合は最低でも3か月ぐらいほっぽっとくんですよ。で、3か月くらい経ったときにノートを見た時に覚えてることだけ書くんですよ。
僕がほっぽってるうちに記憶が勝手に振り分けてくれるんですよ、頭ん中で。あこれは、紹介する料理よ、これはそうじゃない料理だよって。理屈じゃなくて、覚えてないものって、そんだけのもんなんですよ。

食べ手として書くことから、レストランを始めたのはなぜ?

食べ手側で行ける最終地点が僕には見えちゃったので、言い方悪いですけど、つまんなくなっちゃったんですよね。僕にできることって何だろう?って思って、僕じゃなきゃできないことって何だろうって考えて、僕が若手のこれからの子たちっていうのをサポートできるような場があればと思って、こういう場を設けたわけですよ。シェフが1年半で交代で、ジャンルもなんだって構わない。作り手から見る料理と食べ手から見る料理って違うんですよ。作り手側の集合体がレストランなんですよ。そこに食べ手が入るってほとんどまずないですよね。食べ手の目線が入る。この店には決まりがあって、必ず出す時も僕というフィルターを通して、僕が「うん」と言わなければ、表に出ることはないんです。今、ここにいるシェフが、ここが最終地点な訳じゃないんだし、ここで思いっきり腕をふるって、ここから次のステージに、本当の意味での自分の店っていうのが最終地点だから、そこで、そん時は僕のフィルターは無いわけだから、そん時には思いっきりやればいいじゃないですか?それまでは、1年半は絶対そうしてもらうっていう決まりになってる。

新しいシェフは、どうやって決めているんですか?

今回は募集です。こっちから見つけるには限界がある。というのは、僕の店で雇うシェフっていうのは、独立を視野に入れてる人で、独立してない人ってなると大半が、どっかの2番手をやってた子とかが中心になってくるんですよね。でも、すごい美味しいお店だから、その2番手の実力もすごいかっていうとそうとは限らないんで、一概に言えないんですよ。
ここで思いっきり腕をふるってると、絶対心に響く時があるから、食べ手のお客さんの中でも「あ、このシェフすごいな。何か応援したいな。」って言ってくれる人を見つけるところまでが、僕の責任だと思っています。だから、前のシェフの独立先が決まって初めて募集をかけ始めたんですね。
2月に入ってポツっとひとり、来て、その後、ババッと結果、5人の子がやりたいって応募がありました。とりあえず食べてみないとわからないので、5人の料理を食べてそん中から一人を選んだんです。料理を食べた時点で完成されている必要はないんですけど、先のある料理か、そうじゃないかは、料理食べれば一発で分かります。どんなジャンルであっても。
今振り返れば、第1期のシェフも最初から良いなと思ってましたけど、ここ1年半でだいぶ変わりましたもんね。本当によくなったと思うし、ここでそういう風に成長してもらって、この後につながればなぁと思うんですよ。
でも、僕のことだけ言ってしまったら、正直このスタイルは辛い、大変ですね、はっきり言って。僕がお店として本当によくなってきたかなと思ったのは、1周年を乗り越えた時なんですよ。もちろんその都度その都度、料理も完璧なものを出してきたんですけど、料理の味云々というよりもお店として成り立っているかというところで。普通お店って、そういった時期を経験して2年、3年ってやってった時に安定していくもんなんですよ。それが1年たって、いい感じになってきたねって思ってリセットになっちゃう。これって相当ギャンブリー、リスキーな話ですよね。

なぜそこにこだわるんですか?

僕が店をやる意味っていうのは、食業界を盛り上げていくからやっている訳で、もちろん商売として成り立たせないといけないけども、商売としてやりたいっていう訳じゃなくて、料理業界の活性化のためにやってるんだから、僕はシェフを変えなきゃいけないんですよ。ひとりに固定しちゃダメなんです。僕の当面の目標はとりあえず、毎年毎年、シェフ雇って、お店も上手く行って、次のシェフも見つけて、卒業したシェフのケアもできてっていうことが、繰り返して、何年も続けていくことで、形として残していくことが、何よりも今、一番大事。最終的には何十年か経った時、料理業界のトップにいるシェフたちが、元をたどったらみんなうちから出ていったというような構図を作るためにやってるんですよ。かなり先の話なんですけど。

メルマガを発行すると決めたのはなぜ?

ブログは、本当に軽い気持ちでやってるので、そこで情報を出すのがもったいないと思ってしまう自分もいる。ただで提供してるようなもんですからね。仮に僕の好きなケーキが10個あるとしたら、10個がブログに出てるわけないんですよ。メルマガのように、読みたい人が実際に雑誌と同じ感覚で月額いくらとかで買ってくれるんであれば、そこで出し惜しみする必要はないし、本当に書きたいものを書けばいいし、やる意味があると思いました。

メルマガをどのように利用したいと思っているんですか?

差別って訳じゃないけども初めて来た人と100回来てる人が同じであるわけがない、と僕は正直思うんですよ。【月に2人限定・28万円のワイン付きのディナー おひとり様15万円】というようなスペシャル企画の告知など、メルマガを通じてそう言ったものも出したいと思っています。

来栖けいさん

読者へおススメの一言

メルマガやるからには、他で僕がほとんど言ってないようなこととか、メルマガならではの情報っていうのを流したいと思ってます。その分、今まで他の雑誌などにもちょこまか出していた情報もこれを始めることによって、出すことが少なくなると思うんですよ。例えば、ブログとかでも、今まではココぐらいまで出していたよってことも出さなくなると思います。メルマガにその分詰め込みたいなと思っているので、他を犠牲にしてもこっちを優先にしていきたいと思ってます。

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来栖けいさんプロフィール

職業=美食の王様。1979年埼玉県生まれ。
これまでに1万軒以上のお店を食べ歩き、取材を一切しない独自のスタイルを貫く。2004年末に著した『美食の王様 究極の167店 珠玉の180皿』(筑摩書房)でグルメ界に衝撃を与え、現在は雑誌やTVなど数多くのメディアで活躍している。2009年には、若手シェフの育成と料理業界のさらなる向上を目標にしたレストラン「エキュレ」をオープン。自らもお店に立つ。2010年には料理研究家・ビューティーレシピストの松見早枝子氏とのユニット「ドゥーブル ベー ラボ」を結成。様々な食のイベントを催している。

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