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日本ビジネスシステムズ、大手企業のMicrosoftクラウド支援に強み AI活用とグローバルビジネスの需要拡大

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2026年9月14日に行われた、日本ビジネスシステムズ株式会社個人投資家向けIRセミナーの内容を書き起こしでお伝えします。

会社概要

牧田幸弘氏(以下、牧田):みなさま、こんばんは。日本ビジネスシステムズ代表取締役社長の牧田です。本日は当社のIRセミナーにご参加いただき、ありがとうございます。当社の事業内容や、今後の成長に向けた取り組みなどについて、できるだけわかりやすくお伝えしたいと思います。

まず、会社概要についてお話しします。当社は1990年に設立され、上場して間もない会社ではありますが、社歴としては長い会社です。

1990年は「Windows 95」が登場する以前、「DOS/V」というパソコンOSが出た時代であり、そこから事業をスタートしています。当初は、企業向けにパソコンネットワークを販売する仕事から始まり、ゆっくりと成長してきました。

特に当社は、大手企業のITインフラに近い分野を専門に事業を展開しています。具体的な内容についてはこれからご紹介しますが、成長には時間がかかる分野であるともいえます。BtoBの中でも大手企業の仕事に特化している点が特徴の1つです。

現在、当社には3,000名近くの社員が在籍しており、全国に6拠点を構えるほか、海外でも5拠点を展開しています。

ミッション・ビジョン・バリュー

牧田:事業の考え方の基盤となっている、当社のミッション・ビジョン・バリューについてお話しします。

「優れたテクノロジーを、親しみやすく」、これが当社の企業理念です。世界中にある優れたテクノロジーを活用いただくためのサポートを、企業のみなさまにわかりやすく行うことが当社事業の根幹です。

将来目指すべき姿として「社会のデジタル変革をリードする No.1クラウドインテグレーター」をビジョンに掲げています。また、お客さまに寄り添った仕事の進め方を徹底するために、5つの行動指針も設けています。

沿革–JBSの歴史

牧田:過去の成長の軌跡をご覧いただきたいと思います。先ほどお話しした1990年は、当社の創業後、企業にパソコンネットワークが少しずつ導入され始めた時期にあたります。

1995年に「Windows 95」が発売され、1996年から企業に導入され始めました。その当時から、Microsoft製品を企業に販売することが当社の中心的な業務となっていました。

1990年から、企業ネットワークにおいてMicrosoft製品に強い会社として事業を進めてきました。1990年代は、比較的小規模な企業のお客さまや外資系のお客さまが主要なお客さまでしたが、2000年に入ると少しずつ大手企業にも認知されるようになり、取引が広がっていきました。

その背景には、マイクロソフト社がエンタープライズ分野に事業の軸足を移したことがあります。一般の企業においても、ユーザーIDと呼ばれるシステムの中核部分にあたる、ユーザー管理の基盤をほぼMicrosoftが担っています。例えば従業員1万人規模の企業では、1万ユーザーIDを用いてIT業務を支えています。

特に大手企業では、ユーザーID管理がほぼ100パーセントMicrosoftのシステムに依存しており、現在では「Microsoft Entra ID」と呼ばれるディレクトリサービスの分野でMicrosoftが世界を独占する状態です。

当社はこの分野において最も多くのエンジニアを抱え、高い知見を有する会社として多くの指名を受けています。その実績の強さもあり、2000年代から2010年代にかけて、大手企業からの引き合いが増えていきました。

さらに2010年代から2020年代にかけて、世の中でクラウド化が急速に進む中、当社もこの需要に応じて成長することができました。2022年には東証スタンダード市場、昨年には東証プライム市場への上場を果たしています。

現在、当社はこれを成長の出発点とし、今後はSIerとして大手企業との取引をさらに拡大していく方針です。

国内クラウド市場の見通し

牧田:当社の成長の軌跡について簡単にお話ししましたが、ここからは国内のクラウド市場の現状についてお話しします。

企業はこれまで、自社のIT資産を自社のコンピューター上に専属で構築し、稼働させてきた歴史があります。しかし、近年ではクラウド化の率が著しく上昇し、その傾向が加速しています。

クラウド化が本格的に始まったのは2010年代前半で、少しずつ普及してきましたが、現在では新しいITサービスの提供はほぼクラウドが前提となっています。

一方で、企業内にはオンプレミスと呼ばれる自社コンピューター上で稼働する、従来からの膨大なソフトウェア資産も存在します。多くの企業では、このオンプレミスの資産と新しいクラウドサービスを組み合わせて活用しています。

国内のクラウド市場の具体的な規模として、2024年で約10兆円といわれていた市場規模が、2029年には約2倍の市場規模になると見込まれています。

このような市場の中で、企業のクラウド化支援を徹底して行っているのが、当社のビジネスの根幹です。

企業のクラウド活用の拡大

牧田:企業におけるクラウド活用の拡大について簡単にお話しします。

現在、当社のお客さまの多くは大手企業です。そのため、お客さまが従来から保有しているIT資産も膨大です。各企業では、そのIT資産を活用しながら企業活動やデジタルサービスの提供を行っており、さらに新しいクラウドサービスも積極的に活用している段階です。

特に、ここ3年間で急速に普及したAIサービスは、典型的なクラウドサービスの1つです。AIサービスも含め、企業内で新しいサービスをいかに活用していくかは、重要なテーマとなっています。

この分野において、当社は企業のデジタル活用を支援する専門のシステムインテグレーターとして、継続的にサービスを提供しています。今後もクラウド活用は非常に成長が見込まれる分野であると考えています。

当社はAmazonやGoogle、Microsoftといったハイパースケーラーといわれるクラウドベンダーの中でも、特にMicrosoftのクラウドサービスの支援に強みを持っています。専門のコンサルタントとエンジニアを最も多く揃えている企業として、大手企業から指名を受けています。

坂本慎太郎氏(以下、坂本):大手企業を中心に、企業がオンプレミスで自社内にシステムを構築して運営していたかつての状況についてお話がありました。そこから少しずつクラウド化を進めているのは時代の流れではないかと思います。

私もさまざまな会社の話をうかがいますが、やはりこの話題はよく取り上げられます。大きな課題だという認識は持っているのですが、その需要が現在どの程度のものなのか、具体的なところはわかりづらい部分もあります。

御社の業務には保守などが含まれることもあり、「移行して終わり」と件数で測ることもできないのではないかと思います。実際にどの程度仕事として残っているのでしょうか?

牧田:一般的に、新しいサービスはほぼすべてクラウドで提供されています。

一方で、大手企業は長年にわたり、企業内に膨大な量のIT資産を蓄積してきています。それらのプログラムの数やIT資産の蓄積は、相当なものがあります。そのような理由から、大手企業が所有しているIT資産の多くは、いまだクラウド化されていません。

新しいサービスでは徹底的にクラウドを活用していますが、全体の資産の中で「モダナイズ」と呼ばれるクラウド型への移行が進んでいる割合はおそらくまだ2割程度であり、そこまで進んでいれば良いほうのではないかと思います。

現実として膨大な需要がある一方で、簡単に移行を進めることができないというのが現状です。

坂本:ありがとうございます。もう1点うかがいます。御社がMicrosoftクラウドに非常に強みを持っているとご説明がありました。この強みの理由について、おそらく社歴にも関連する部分があるかと思いますので、あらためてご説明いただけますか?

牧田:クラウドを活用する際、大手企業ではユーザー管理を含むコミュニケーション基盤が重要になります。このコミュニケーション基盤において、大手企業ではMicrosoftのユーザーID管理ツールである「Microsoft Entra ID」を軸にしつつ、長年にわたり「Microsoft 365」が利用されています。

坂本:サブスクリプションで、さまざまなものがセットになっているものですね。

牧田:おっしゃるとおりです。「Microsoft Teams」などのさまざまな機能が一括で提供されますので、「Microsoft 365」はほとんどの企業で利用されています。そのため、Microsoftを軸としたアプリケーションや連携ツールを活用するニーズは非常に高まっています。

もちろん、クラウドでは他のクラウドベンダーの製品も併用され、ミックスで運用されるケースも一般的です。しかし、大手企業ではMicrosoftクラウドが必須の基盤として利用されています。

当社はその根幹部分に関する豊富な知見を有していることから、多くの企業から高い評価を受け、ご指名いただいている状況です。

JBSは何をする会社なのか

牧田:当社の事業内容についてご説明します。スライドには事業セグメント別にご紹介しています。

1つ目は、クラウドインテグレーション事業です。多くの企業で「新しいサービスを導入したい」「オンプレミスで作っていたIT資産を新しいクラウドサービスと連携して使ってみたい」というニーズがあります。そこで請け負いやお客さまの指示に基づいてシステムの構築を行っています。この事業は当社の中核を成しています。

クラウドインテグレーション事業でシステムを構築して稼働させた後、新しい環境でそのシステムを動かし続けるためのメンテナンス業務があります。これが2つ目のクラウドサービス事業です。新しいサービスを安定してサポートするため、ユーザーサポートまで含めて対応します。

システムのインテグレーション、その後のメンテナンス、さらにユーザーサポートまでを総合的に提供することは、当社の事業内容の特徴です。

3つ目のライセンス&プロダクツ事業も、事業の基盤を支える重要な分野です。以前はコンピューター自体を購入してデータセンターに設置し、ソフトウェアを導入するシステム構築方法が主流でした。

しかし、現在はクラウドライセンスを契約し、ハイパースケーラーのサービスを直接利用するかたちが広がっています。自社でコンピューターを購入する必要はなくなった一方で、クラウドライセンスの購入が発生していますので、当社ではお客さまにそれらのライセンスを提供する業務を展開しています。

このクラウドライセンスの再販は、当社の事業の中でも売上比率が高い重要な業務の1つです。

坂本:現在、御社の事業をご説明いただきました。3つの大きな事業があり、売上構成比が一番大きいのはライセンス&プロダクツ事業というお話でした。3つの事業の構成比に最近変化はありましたか? 事業内容が変化する中で、構成比にも変化があるのではないかと思います。

牧田:クラウドインテグレーション事業やクラウドサービス事業の比率は上がってきていますが、ライセンスサービスの需要が非常に高い状況です。

当社のお客さまには日本の大手企業が多く、中でも製造業を中心にグローバルでの売上が大きい企業が多いです。これらのお客さまはグローバル拠点でもライセンスが必要となります。

以前は現地法人ごとに現地サービスを利用していましたが、統一されたクラウドサービスを使えるようになったことで、日本を拠点にグローバル全体をコントロールできるようになりました。

坂本:「Microsoft 365」になってからですね。

牧田:クラウドを活用することで可能になったことですが、その結果、グローバルでのライセンス調達に関して多くの依頼をいただいています。このようにグローバルでのライセンスに対する需要は非常に大きく、現在も伸び続けています。

坂本:ライセンス&プロダクツ事業では、特に大手企業との接点が多いと思います。御社にはクラウドインテグレーション事業とクラウドサービス事業がありますが、担当者はそれぞれ異なると思います。この環境を活かしたクロスセルも実現されていますか?

牧田:当社のサービスは部門ごとに提供していますが、「それぞれのサービスを連携してサービスを受けたい」といったお客さまのリクエストに対応するため、部門間で密なコミュニケーションを取っています。お客さまの社内で部門が異なる場合でも、当社がハブとなり、お客さまに最適なサービスを提供しています。

大手企業の場合、各部門の専門チームがサービスを使用されますので、1社のお客さまに対して複数の担当者が対応し、担当者間で連携しながらサービスを提供できる体制を整えています。その連携もお客さまから評価されているのだと感じています。

坂本:この資産を上手く活用しながら、多様な営業活動が行えているのですね。

事業成長の土台となる実績

牧田:当社の強みについてご紹介します。当社は金融業、製造業、サービス業の各社を含めて、企業規模の大きなお客さまにお取引いただいています。TOPIX100に含まれる企業のうち72パーセントが当社のお客さまとなっています。

お客さまの数そのものは膨大ではありませんが、1社あたりの取引規模は非常に大きい点が特徴です。また、新規で取引を開始したお客さまの場合でも、1社ごとの取引規模は年々成長していく傾向があります。

また、スライドの右側に「戦略的パートナーシップ」と記載していますが、当社は世界中の優れたデジタルテクノロジーをお客さまに提供するだけでなく、事業に役立つ使い方をこちらからご支援するようなテクノロジーのパートナーになりたいと考えています。そのため、世界中のテックリーダーと連携がある点も特徴です。

人的資本経営

牧田:「人的資本経営」という言葉が流行し始めてから、まだ10年経っていないかもしれません。しかし、当社は創業当時から人的資本経営に非常に力を入れてきました。

当社の特徴の1つとして、採用活動に力を入れている点があります。社員数が現在の3,000名規模に達するまでの過程においては、毎年新卒採用を継続し、さらにキャリア採用にも力を入れてきました。

積極的に「IT分野のプロフェッショナルになりたい」という人材を採用し、育成に取り組むことで、プロフェッショナルな人材へと育て上げることが当社の特徴でもあります。

さらに、社員が働きやすい環境で仕事に集中できるようにすることが、当社の方針です。社員に先進テクノロジーのライセンスをすべて付与し、新しいプロジェクトにも積極的にチャレンジできるよう、会社として働きやすい環境を整えています。

以前からIT業界は非常に残業が多い大変な業界といわれていましたが、当社では、みんなが仲良く一生懸命に、できるだけ負荷が偏らないよう工夫しながら、力を合わせて事業を進めてきました。

そのような意味では、お客さまが非常に協力的であることも背景にあり、当社としては良い環境で社員を育成できていると考えています。

坂本:人材については投資家からの質問が意外と多いため、あらためておうかがいします。採用について、スライドの中に横や上の方向に矢印があるのは、前年比での増加という意味ですか?

牧田:新卒採用は毎年わりと順調ですが、キャリア採用の増加については、上場前後で大きく変わったという印象があります。

坂本:変化の要因には知名度などもあるのでしょうか? 

牧田:上場後のほうがキャリア採用はしやすくなったと実感しています。

坂本:採用面で御社独自の施策があれば教えてください。

牧田:当社は実際に会社に来ていただき、「この会社でキャリアを積もう」と思っていただくための取り組みを行っています。その中でも特にユニークな施策が2つあります。

1つ目は、スライド右下に写真も掲載していますが、IT業界でも非常に有名な「Lucy‘s」です。コミュニケーションの活性化を目的に、社員食堂に力を入れています。

この社員食堂はランチを提供するだけでなく、夜には巨大なレストランになります。若い社員が集まって食事会をしたり、お客さまやメーカーのエンジニアが訪れたりすることもあります。夜には多くの人が集まり、大変活気のある場所となっています。

向井沙耶氏(以下、向井):「Lucy‘s」ではお酒も提供されるのですか?

牧田:夜にはお酒も提供され、リーズナブルな価格で楽しむことができます。その結果、多くの方が集まる非常に魅力的な場になっています。これが当社の大きな特徴の1つです。

もう1つの特徴が、全国から集まる若い社員のために社宅を用意している点です。快適な住環境を提供し、会社に近い場所で生活できるようにすることで、社員が仕事に集中できる環境を整えています。

2026年 9月期 通期連結業績予想

牧田:全体の業績にも少し触れたいと思います。2026年9月期の売上高は2,165億円を予想しています。営業利益は91億円、親会社株主に帰属する当期純利益は70億円を見込んでいます。

坂本:今期の営業利益率予想が4.2パーセントとなっていますが、前期と比べるとやや低下しています。これは売上が急成長したことが主な要因でしょうか?

牧田:売上高が急激に伸びたことが大きな要因です。その背景には、先ほどお話しした新しいグローバルのライセンス需要が大幅に増加し、大きな取引が複数発生したことがあります。

ライセンスは取り次ぎや再販としての性質を持つため、利益率が高いビジネスではありませんが、全体のコーディネーションが求められるものです。

また、実際にグローバルでクラウドライセンスを日本の大手企業にデリバリーできる企業は限られており、当社にはそれに特化した専門家が揃っているため、多くのお客さまから指名をいただいています。

ニーズに合わせたサービスをさらに伸ばしていきたいと考えていますが、結果的に現時点ではこのような数字となっています。

配当予想

牧田:当社の配当についてご説明します。2025年9月期の決算では40円の配当を実施しましたが、2026年9月期の決算では年間配当50円を予想しています。

今後も、株主のみなさまにご納得いただける配当を維持していきたいと考えています。業界全体の中では配当性向が必ずしも高いとはいえないかもしれませんが、上場間もない会社としては比較的努力しているほうではないかと考えています。

坂本:もちろんです。実際に増配もされています。

牧田:今後さらにみなさまのご期待に応えられるよう努力していきたいと思っています。

坂本:近年の配当方針、つまり配当性向は35パーセント程度になっていますが、そのような水準を目指しているのでしょうか?

牧田:当社としては特定の配当性向を目標に掲げているわけではありませんが、現在の利益予想に基づいて配当を決めています。他の大手SIerと比較しながら進めており、まだ努力が必要だと認識していますが、今後も継続的に配当を増やしていきたいと考えています。

株主優待制度のご紹介

牧田:株主優待制度のご紹介です。現在、当社では400株以上を保有されている株主のみなさまに対して、会社として感謝の気持ちをお伝えするために、株主優待ポイントをご用意しています。

このポイントを使ってカタログ内からさまざまな商品をお選びいただける仕組みとなっていますので、ご満足いただける楽しい制度だと思います。株主のみなさまにこのような楽しみを提供していきたいと考えています。

坂本:商品がたくさんありますよね。区分けも細かく設定されていますが、最大4,000株以上で年10万円相当のポイントが付与されるというのは、非常に手厚い内容だと思います。

牧田:ぜひご活用いただければと思います。

中期経営目標

牧田:当社の今後の中期的な成長についてお話しします。こちらのスライドでは、2025年に中期経営目標として設定した、2028年に向けた売上・利益の予想を示しています。

売上については、今期すでにその予想を超えました。この理由として、特別なライセンス需要があったことが挙げられます。営業利益も含め、目標に向けて着実に成長を遂げています。

坂本:売上が予想を超過している場合、個人投資家から「上方修正しないのですか?」という質問が出ることがありますよね。

その話は一旦おいておき、私が気になったのは、売上が大きく増加した理由にグローバルでの伸びがあったという部分です。これは持続的なものなのでしょうか? それとも一過性のものなのでしょうか?

牧田:現在の当社の予想では、グローバルでの調達ニーズは比較的始まったばかりといえます。特に製造業のお客さまに関する部分です。

当社は金融業のお客さまに対してグローバルでもかなりの調達支援を行っていますが、製造業のお客さまの場合、日本の大手企業は世界の売上のほうが圧倒的に大きいケースが多い状況です。

それらの企業では、これまでは現地でのクラウドライセンス調達が一般的でした。しかし、さまざまなガバナンスの環境や、新しいコミュニケーション基盤を構築する必要性があり、グローバルで統一したサービスへのニーズが高まっています。日本の大手企業もこのような動きに沿って進んでいます。

成功事例も多く出てきており、当社からそれをご紹介することで、新規のお客さまにも積極的に興味を持っていただけます。そのため、新規のお客さまが増えた要因の1つとして、そのような点が挙げられます。

坂本:その支払いは円建てが好まれるのでしょうか? 他社でも見られるケースですが、海外で調達すると現地通貨やドルでの支払いとなり、円にまとめたいというニーズもあるのではないでしょうか?

牧田:おっしゃるとおり、円での調達が好まれます。

坂本:それは強みですね。そのようなニーズは多いと感じます。

牧田:日本に本社がある会社の場合、世界中での調達を円で一元管理し、現地に配分するかたちを取るケースが多いです。

事業ポートフォリオの変革

牧田:当社の事業内容についてお話しします。スライドの図を見ていただくと、左側の円の下部に「ライセンス&プロダクツ」と記しています。これは、先ほど申し上げた3つの事業の中のライセンス&プロダクツ事業の基盤となる部分です。

このライセンスを活用して新しいITインフラを構築し、それを活用するかたちでサービスを展開したり、保守を行ったりするようなテクノロジーの業務を行っています。これは、いわゆるITインフラの構築を手がける業務で、スライド右側に記載しています。ライセンス&プロダクツとテクノロジーサービスが、当社の業務のかなりの部分を占めています。

その中で今後のビジネス展開を考えると、特に大手企業にはグローバルでのサービスへのニーズが多く存在しています。それはライセンス調達にとどまらず、グローバルなユーザーサポートまで展開してほしいという要望を含んでいます。これがグローバル事業の部分です。

また、当社はビジネスアプリケーション分野のシステム構築サービスや、クラウドを活用した新しいビジネスモデルの創出に関するIT需要にも対応しています。これも、もう1つの重要な柱として今後さらに育てていきます。

さらに、2022年の暮れに登場した「ChatGPT」からAIの大きな波が世界中で広がってきました。この3年半の間に急速に進化を遂げ、AIサービスの優れたモデルが次々に登場しています。

このAI分野は企業のデジタル活用の中に着実に組み込まれ、お客さまの事業を変革する場面で「AIを組み込んで作ってほしい」というニーズが発生しています。当社はそれを実現できるよう、お客さまへの支援を行いながら進めており、大きなサービスの1つとなっています。

これら3つの分野を戦略的な先行投資領域とし、事業を推進しています。

成長サイクルモデル

牧田:今後の成長サイクルについてお話ししたいと思います。

当社では、事業投資を非常に積極的に展開しています。その理由は、ビジネスを構築するためにはBtoBの大手企業の仕事において、人と人とのコミュニケーションによって新しい事業が成果として結びついていくからです。

お客さまのシステム担当者、ユーザーの担当者、責任者、経営者、そしてITテクノロジーを専門とする当社サービスの人材、さらにはメーカーでサービスを提供する人材など、必ず人とのネットワークが必要です。

このようにチームで取り組んでいますので、仕事が円滑に進められるオフィス環境にも積極的に投資しています。コミュニケーションが活発に行えるオフィスや、社内に設置した食堂など、環境への投資を継続しています。

また、当社の全社員3,000人が最新のAIライセンスをマルチで活用できるようにしており、その結果、3,000人のインストラクターを擁するような企業となっています。自社の業務にも徹底してAIを活用し、当社ではこれを「リアルショーケース」と呼んでいます。独自の事業投資を通じて、お客さまに新しいサービスをそのまま提供できる体制を整えています。

この取り組みにより、お客さまの新たなデジタルニーズを掘り起こし、そのニーズに応えるサービスを提供しています。お客さまが付加価値の高い業務提供を行えるよう支援することで、顧客深耕を進めています。

また、マルチAIモデルのパートナーとしても活動しており、主要なAIモデルを提供する企業とパートナーシップを結び、その事業領域を拡大しています。これにより事業の成長を継続して実現できていると感じています。

その成果として社員の待遇改善を図り、新たな人材の獲得にも取り組んでいます。同時に、株主のみなさまへも配当を続けていきたいと考えています。このサイクルをより良いかたちで維持し、発展させたいと思っています。

坂本:AI分野は個人投資家を含めて広く注目されている分野でもあります。御社にとってもビジネスの追い風と考えてよろしいでしょうか?

牧田:そのとおりです。よく「AIがプログラムを書いてくれるからシステムの仕事がなくなる」という話もありますが、現在ではAIでプログラムを書くことが当然の状態となっています。

そのため、さまざまな業務をいかに新しいモデルに転換できるかが重要です。これには、事業の全体像や過去のIT資産を深く理解し、最先端のAIをどのように活用するかを的確に指導する必要があります。このため、単純作業しか扱わない事業モデルの企業にとっては、AIによる代替の可能性が高まります。

しかしながら、AIを積極的に活用する側の企業にとっては、いかにAIをさらに活用していくかが重要な仕事であり、当社にとっても非常に大事な領域です。AIによる世界的な変化は、非常に良い時代に突入していると考えています。

坂本:変化をチャンスに変えていくということですね。クラウド化が進む中で、過去の資産をAIで処理する際には情報流出やセキュリティの課題も出てくるように思いますが、その点についてはどのようにお考えですか?

牧田:AIを安全に活用するためには、しっかりとしたインフラを整備する必要があります。専門のエキスパートが入り、安全性を担保した上で、AIを効率的に活用するためのインフラ構築が重要です。

確かにAIによってさらに効率化が進み、早く楽に仕事ができる時代が来ればよいと期待もしますが、現時点ではまだ膨大な業務量があり、専門家の需要も引き続き高い状況です。この分野はまだまだ多くの人材が必要とされていると感じています。

向井:では、社員の教育体制も非常に重要な課題になりますね?

牧田:おっしゃるとおりです。ただし、「こういうテクノロジーをこうやって使うんですよ」と何かを教えるだけで済むものではありません。

まず、最新の優れたソフトウェアやクラウドライセンスを徹底的に活用し、高性能なパソコンを使って先端技術を実際に体験することから始まります。そこからさらに自分で作り、動かし、実際のプロジェクトに適用していく実践を通じて人材は育っていきます。

みんなで「はい、勉強しましょう」といった単純なものではなく、実践的なプロジェクトを通じて教育を行っていく体制が確立されています。もうどんどん自分で進めていくという感じです。

向井:それが3,000名の全社員が活用するマルチAIモデルなのですね。

牧田:例えばこれまで経理部門で管理職の仕事をしていた社員が「かつての仕事のモデルを『Claude Code』でこれだけのものに作り変えました」と、新しい技術を活用しながらどんどん業務を進めています。どの部署に行っても、みんながよく使いこなしながら業務を進めている状況です。

向井:中には変化を好まない人もいるのかと思いましたが、社員のみなさまは意欲的に学びながら取り組んでいるのですね。

牧田:学ぶというよりも、実際の仕事を早く終わらせるためにはどのようにすればよいかを真剣に考えながら業務を進めています。実務を通じてどんどん経験を積んでいただくことが、人材育成にもつながると考えています。

質疑応答:クラウド移行とAI活用のバランスについて

坂本:「御社にとってクラウドの需要と生成AIの市場拡大が追い風になっているというお話でした。今後注力する領域は、クラウド移行の支援、AI活動の支援のどちらなのですか?」というご質問です。

牧田:それは両方です。基本的にAIを活用するためにも、クラウド移行をきちんと進め、インフラをしっかり整備する必要があります。ガバナンスやセキュリティの環境も整えなければなりません。

そのための作業は非常に膨大で、インフラがある程度整わなければAIを安定的に活用し発展させることは難しい部分もあります。したがって、これらは両輪の関係にあります。

質疑応答:今後の成長ドライバーとなる領域について

坂本:「AIサービス、ビジネスサービス、グローバルサービスを戦略事業として強化するとのことですが、今後3年で最も成長ドライバーになり得る領域はどこでしょうか? その理由もあわせてうかがいたいと思います」というご質問です。

牧田:それぞれに可能性があるのですが、入り口として最も事業のドライブとなり得るのはグローバル市場だと考えています。

まだ未展開のエリアもありますが、当社はSIerとして世界中に一定程度拠点を構えており、現地法人を配置しながらサービスを提供できる体制を整えています。これが日本の大手製造業のお客さまには特に評価されており、ニーズにもしっかりとお応えできていると感じています。

日本の大手企業の場合、これまでは現地に任せていたというのが実情です。

坂本:調達などを含めてですね。

牧田:おっしゃるとおりです。現在、新しいかたちへと変えていくことを求めるお客さまのニーズがあります。それは調達やサービス分野の話ですが、世界中で共通の新しいコミュニケーションネットワークを構築したいというニーズもあります。

さらに新しいサービスに関しては、先進のAIを活用した効率の良い新しいシステムへの切り替えを望むお客さまのニーズもありますので、これを徐々に展開しながらさらなる発展を見込んでいます。

質疑応答:今後のM&A戦略について

坂本:「M&Aをノンオーガニックの成長の手段として位置づけていますが、現在はどの領域をその対象とされていますか? AIサービス、ビジネスサービス、グローバルサービスなどの成長分野の中で、特にM&Aで補完したい領域はありますか?」というご質問です。

牧田:成長を推進する上で、M&Aは非常に重要だと考えています。当社が得意としていた分野から新たな分野を拡大しようとする際、自社のこれまでの知見や経験を考慮すると、人材育成に非常に時間がかかるためです。

すでに当社グループに加わっており、アプリケーション開発に強いネクストスケープ社は非常に優れた開発ノウハウを有するチームです。同社は現在AI駆動型の開発でかなり先行しており、当社の開発チームと連携して、さまざまな共同プロジェクトやお客さまの開拓を進めています。

領域としては、特にアプリケーション開発やAIを活用した分野において、M&Aの好機があれば積極的に進めていきたいと考えています。

質疑応答:M&Aの方針について

坂本:「M&Aについて、案件規模、国内・海外、マジョリティー・マイノリティなどの方針はありますか?」というご質問です。

私もこれまで500社ほどこの仕事に携わってきた中で、その時々の案件次第だと思っていますし、投資家のみなさまも認識されていることだと思います。御社の場合、自社のオーガニック成長を重視されていると思うのですが、いかがですか?

牧田:当然それが一番のベースにあります。しかし、どのようなチャンスがあるかは、実際のところ予測できないと感じています。

坂本:財務も堅実なので、いつでも準備は整っているだろうと思います。

牧田:当社としては、当社を補完するような会社とM&Aを行うことも考えています。当社は独立系の会社としてはまだサイズが大きい会社ではありませんので、さまざまな会社がある中で、将来的にはM&Aで一緒に事業を行う可能性もあると思います。

そのような意味では視野を広げ、さまざまな可能性を検討していきたいと考えています。

質疑応答:メモリ等の部材高騰と企業のデジタル投資の状況について

坂本:「最近のメモリ等の部材の高騰により、企業がリプレイスに慎重になっているのではないかと懸念しています。予算を理由に諦める会社もあるのでしょうか?」というご質問です。

大手企業が取引の中心だとご説明もありましたが、御社のクラウドインテグレーションサービスでもさまざまな部材や人件費なども含めて予算が高騰したことで、顧客がなかなかリプレイスをできない状況があるのでしょうか?

あるいは、実施することは決定している、あるいはハイパースケールの投資なども今やらなければ結局競争に負けてしまうと考えて実施する企業もあると思います。このあたりはいかがでしょうか?

牧田:メモリ高騰については、さまざまな面で影響を受けている部分があります。

現在、当社の大きなプロジェクトではある程度クラウド活用を基本にしていますが、オンプレミスのインフラも並行して準備するお客さまがいらっしゃいます。そのため、調達が間に合わず一部プロジェクトがスリップしてしまうケースがいくつかあります。これはやむを得ない部分であり、どうしても起こり得る事態です。

しかし、「価格が高騰しているから、このIT投資にはちょっとブレーキをかけようか」という企業は1社もありません。

坂本:なるほど、やはりそこは企業も重要視されている部分なのですね。

牧田:そのとおりです。これは金融業だろうと、製造業だろうと、サービス業だろうとすべての企業経営者にとって、現在デジタル投資が最優先事項となっています。デジタル投資なしでは会社の成長戦略は成り立たないと、どの企業も考えています。

そこで一緒に考えていけるパートナー企業とは積極的に話していただけますし、当社もそのニーズにしっかり応えられるよう、人材育成に力を入れています。

牧田氏からのご挨拶

牧田:あらためて、本日は当社のIRセミナーをご視聴いただき、誠にありがとうございます。

私どもはまだ成長途上のSIerですが、日本を代表する大手SIerの一角に加わる企業へと成長するべく、社員3,000人全員が一丸となって取り組んでいます。

株主のみなさまのご期待に応えるべく、これからもしっかりと成長を続けていきます。引き続き温かいご支援を賜りますようお願い申し上げます。本日は貴重なお時間をいただき、誠にありがとうございました。

当日に寄せられたその他の質問と回答

当日に寄せられた質問について、時間の関係で取り上げることができなかったものを、後日企業に回答いただきましたのでご紹介します。

<質問1>

質問:中期経営計画で、利益成長の中心をエンジニアリングサービスへシフトするとありますが、利益率を押し上げる具体的な施策は何ですか?

回答:クラウドインテグレーション事業にてお客さまに適したIT環境を整備し、それに付随する運用をクラウドサービス事業でご支援していきます。この2つの循環により、利益率の向上を図っていきます。

また、クラウドサービス事業では、人手に頼らないマネージドサービスの比率を上げていくことで、さらなる利益向上を目指していきます。

<質問2>

質問:ライセンス取引を付加価値のあるリカーリングビジネスへ転換するとありますが、契約継続率や単価を高めるための打ち手をどう設計していますか?

回答:当社では、単にライセンス提供するだけでなく、導入支援、構築、保守・運用、さらにはAI活用の支援までをワンストップサービスで提供することで、お客さまと長期的な関係構築を図り、それがお客さまにとってのJBSを採択いただく理由となっています。

お客さまのクラウド利用定着を支援し、継続的に価値を実感いただける体制を整えています。

安定的なライセンス収益に加え、継続的なエンジニアリングサービスを提供することで、リカーリングビジネスの拡大と利益向上を目指していきます。

<質問3>

質問:採用と育成のボトルネックはどこにあり、来期に最優先で改善させる指標は何ですか?

回答:人材採用につきましては、年間300名規模を継続的に採用できています。

一方で、AIやセキュリティ分野の専門人材や、案件全体をリードできるプロジェクトマネージャー層に対するニーズは非常に高い状態です。そのため、既存社員のスキルアップおよびキャリア採用の両輪で改善していく方針です。

<質問4>

質問:御社と同規模の中堅SIerが多数ある中、大企業との取引に強い理由は何でしょうか?

回答:お客さま一社一社との、日々のご支援で積み上げる信頼関係に起因するものです。

また、メーカーとの戦略的パートナーシップにより、お客さまに最適なソリューションを提供できるということが当社の強みであり、他社との差別要素となります。

システム導入から運用支援までをワンストップで提供できる総合力が、大手エンタープライズのお客さまとの継続的な取引につながっているものと考えています。

<質問5>

質問:AI支援の案件を継続的な収益にするために、導入一巡後の運用支援や定着化支援をどう標準化しますか?

回答:お客さまの状況に合わせて最適化支援を進めていきます。

一部ユーザー向けの活用トレーニングや問い合わせ対応、利用状況の分析、プロンプトや業務テンプレートなどは標準化していく方針です。

お客さまが継続的にAI活用の効果を高められる仕組みを整備していきます。

導入後の活用状況の可視化、利用促進、運用改善をお客さまの状況に応じて継続支援していくことで、継続的な取引拡大を目指していきます。

<質問6>

質問:「Microsoft 365 Copilot」の定着化支援などの実績を横展開する上で、業種特化と共通テンプレート化のどちらを重視しますか?

回答:お客さまの状況に合わせて最適化支援を進めていきます。

共通部分は標準化してスケールさせ、差別化につながる部分は最適化して、業種・業務ノウハウで付加価値を高めていきます。どちらか一方を重視するのではなくノウハウを活かしながら、どちらもご支援していきます。

<質問7>

質問:Googleの「Gemini」導入サービスの狙いは新規顧客獲得と既存顧客の単価向上のどちらをより期待していますか?

回答:新規顧客開拓と既存顧客の単価向上の双方を期待していますが、特に既存顧客への提供機会拡大は重要な成長機会です。

Googleに限らずマルチAIで支援をしていく方針です。

短期的には既存顧客へのクロスセルや提供サービス拡大による顧客深耕、中長期的には新規顧客開拓の双方を進めながら、AI関連ビジネスの成長を目指していきます。

<質問8>

質問:情報を整理集約してAI活用しやすい環境を作る提案を、どの顧客層で最も伸ばしていく方針ですか?

回答:特定の業種に絞るのではなく、幅広くエンタープライズのお客さまを中心にご支援する方針です。

AI活用に付随する情報基盤整備と合わせて、ビジネスの拡大を目指していきます。

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