お金がない! 葬儀費用を故人の生命保険から出すことは可能か?

 

まず、ご心配のもう一点として元奥様がご親戚の方の相続財産を我が物として消費することを避けたいという点があると思います。

さきほど述べたように、未成年のお子様の場合、法律行為は法定代理人が代理行為として行います。これは、相続についても同じです。となると、ご親戚の方が亡くなられた場合、お子様の代理人として元奥様がご親戚の方の遺産すべてを管理することになりかねません。

このような場合を想定して、法律では利益相反行為に該当する場合には、親権者ではなく、家庭裁判所が選任した特別代理人が未成年のお子様の法律行為を行えるように規定しています(民法826条を参照)。

利益相反行為とは、「行為の外形から、一般的、客観的に判断して、子供の利益が害される危険がある」行為(最判昭和49年7月22日)とされています。今回のケースでは、法定代理人となる元奥様のお金の使い方によっては未成年のお子様の利益が害される可能性もありえますので、特別代理人の選任が可能であると思われます。

そのため、まず、弁護士に依頼して、家庭裁判所に対して特別代理人の選定を申し立てます(この際、相続問題などに長けた弁護士を頼るほうがベターです)。そして、特別代理人を経由して相続財産から葬儀費用を拠出してもらうという方法を取ります。この際、保険金の受取人が未成年のお子様であっても、特別代理人を介して葬儀費用の支払いは許される拠出であると考えます。

次に、相続財産の使い道については、お子様の養育や教育に必要な金額が生じるたびに、元奥様から特別代理人に対して申請のうえ、支払いを行うような運用にしておけば、財産の私的浪費を防げるものと思われます。

 [関連情報]

葬儀費用を故人の預金口座から引き出してしまったが、相続放棄は認められる?
https://www.hou-nattoku.com/consult/1414.php

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