【書評】一生モノのキャリアを目指さない働き方でいいじゃないか

 

「キャリア・アップ」という言葉から連想されるような、「より高いポジション」「より高い報酬」「より高い専門性」という「右肩上がりの成長」を目指すキャリアスタイルに私は違和感を抱いてしまいます。むしろこれからの時代は、「一生モノのキャリアを目指さない」という新しい発想からキャリアを考えていくことも必要だと思うのです。これをあえて言葉にするなら、「キャリア・スライディング」です。ひとつの職種に限定せず、ひとつのスキルに集中せず、一生涯のうちに、複数の仕事に従事し、複数の肩書を持って働くというスタイル(安藤美冬)

キャリアを考えるには、まず「What(何をするか)」より「How(どのように生きたいか)」から考える(安藤美冬)

100×100×100 つまり100人中1位になる強みを3つ掛け合わせることで、100万人中1位の存在になる(安藤美冬)

何か新しい一歩を踏み出すきっかけになるという点では、自分という人間について先入観が少ない「ウィークタイ」のつながりに軍配が上がります。そしてこの「ウィークタイ」こそが、自分の新しいキャリアを運んでくることがあるのです(安藤美冬)

「100×1のスペシャリスト」ではなく、「1×100のジェネラリスト」(中村貞裕)

必要なのが「人脈」です。僕のようなジェネラリストにとって、スペシャリストをどれだけ知っているか、どれだけ自分のプロジェクトに巻き込めるかが、仕事の結果を左右します(中村貞裕)

どうしても仲良くなりたくて、どうしたらいいだろうとずっと考えていたとき、ふと思いついたことがありました。当時、藤巻さんは毎晩のようにいろんなパーティーに出席していたのですが、家が横浜のほうで、毎回帰るのが大変そうだった。そこで僕がパーティーの帰りに藤巻さんを家まで送っていく役目を買って出たのです(中村貞裕)

僕は絶対に人を嫌いになりません。なぜなら、嫌いになると自分も嫌われてしまうからです(中略)もし相手を嫌いになりそうになったら、その人のいいところを徹底的に見るようにします(中村貞裕)

人々の好みが細分化されたいま、企画はかつてのように、通りすがりのすべての人に売るのではなく、絞り込んだターゲットにいかに届けるかを真剣に考える必要があります(山本由樹)

ビジネスとはコミュニティをつくること(楠本修二郎)

ビジネスは今後「占有」から「共有」へ(楠本修二郎)

オムニバス形式の本にありがちなことではありますが、人によって内容の充実度に偏りがある、というのが玉に瑕。

サイバーエージェント藤田さんの話も、もうどこかで聞いたことのある話で(藤田さんの本を読み過ぎだということもありますが…)、実際にためになったのは、数名分だけでした。

とはいえ、斬新なキャリアのアイデアがあったのは事実で、それだけでも読む価値がありました。

ぜひチェックしてみてください。

image by: Shutterstock

 

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著者はAmazon.co.jp立ち上げに参画した元バイヤー。現在でも、多数のメディアで連載を抱える土井英司が、旬のビジネス書の儲かる「読みどころ」をピンポイント紹介する無料メルマガ。毎日発行。

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