小学校低学年に「日記の宿題」は良くない……なぜなのか?

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全国の小中高生向けに作文・小論文講座を展開している「言葉の森」のメルマガ『言葉の森 オンラインマガジン』。今回は小学校1・2年生の子どもを持つ保護者の方向けに、国語力アップの秘訣をレクチャー! 子どもの頃よく書かされた日記、あれはあんまり良くないらしいそうで……。

小学校1、2年生は、日記の宿題よりもまず読書を──家庭学習の基準は中高生まで続けられること

小学校1、2年生のころは、学校で日記の宿題がよく出ます。日記というぐらいですから、毎日書いていかなければなりません。

この勉強は家庭に任されることが多いので、うまくやれば楽にできますが、そうでないと苦しい勉強になってしまいます。

日記を楽に書く方法は、内容を中心に考えるのではなく、表現を中心に考えることです。つまり、価値あることを書こうとは思わずに、どういう表現を使って書くかを考えればいいのです。例えば、会話を入れて書くとか、たとえを使って書くとか、「どうしてかというと」という理由を入れて書くとかいう方法です。

内容的に価値のある話は、偶然見つかるものですから、たまたまそういうものがあればそのことを書いていけばいいのですが、毎日そのような特別の材料があるわけではありません。そういうときは、いつもと同じような今日のことを、表現を探しながら書くようにすれば、書く方向が決まって書きやすくなります。

日記を書くためのもうひとつの方法で、親子で構成図を書くというやり方がありますが、これはまたいつか動画などで載せておきたいと思います。

しかし、本当は、低学年で日記の宿題に力を入れるのは、よくないことも多いのです。

それは低学年の場合は、文章を書かせれば必ずと言っていいほど間違いがあるからです。すると、日記の宿題は、書き方の間違いを探すという勉強になってしまいます。どの子も間違いがありますから、それを見る大人である先生やお母さんも、つい間違い直しを目的とした勉強のように考えてしまいます。間違い直しを主な目的にした勉強は、子供にとって面白いはずがありません。

小学校低学年のころは、子供は親や先生の言うことをよく聞きます。嫌なことでも、やれと言えば素直にやります。本当はやりたくないことをやらされているうちに、勉強というものは苦痛に耐えるものだといような先入観が育ってしまうのです。

では、どうしたらよいかというと、日記を書かせるのではなく、読書や音読で力をつけていくのです。

低学年のころは特に、出力ではなく、入力に力を入れていく時期です。出力は週に1回で充分です。毎日欠かさずにやるのは入力の方なのです。特に、読書はどの子にとっても抵抗がありません。本を読んでいれば、親から間違いを直される心配もなく自分の好きなだけ本の世界に没頭できます。

読書や音読で、読む力がついてくれば、例えば、「わ」と「は」の区別や、会話の改行や、段落などということが漠然とわかってきます。その上で、文章を書く練習をすれば、間違いがあったとしても、それは注意してすぐに直るものですから、子供にとって大きな抵抗にはなりません。

読む力が充分についていないうちに、文章の間違いを直そうとするから、何度も同じ注意をして、何度も同じ間違いをするということが続くのです。

また、日記を書くことを家庭学習とすることも、あまりおすすめできません。家庭学習は、小1のうちに習慣を作っておくことが大事ですが、その勉強を中学生や高校生になるまで続けることができるかどうかをひとつの選択基準にしておくとよいと思います。

日記を書く勉強というのは、楽しさよりも苦痛の多い勉強ですから、低学年のころはやっていても、小学3年生ぐらいになると、続けることができなくなります。すると、きちんとやっていたものが、だんだんずるずるとやらなくなるという、あまり望ましくないパターンで終わるようになります。このようなことが何度かあると、新しい勉強をするときも徹底できなくなるのです。

では、低学年で、もう既に日記を書くという家庭学習をしているところは、どうしたらいいかというと、それは「日記を書く勉強は○年生の○月までとしようね」と、あらかじめ決め直しておけばいいのです。

もちろん、子供がもっとやりたいと言えば、期限を延ばしてやればいいのですが、大事なことは「うやむやのうちにやらなくなる」ということがないようにすることです。

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