社労士に聞く、「仕事ができないからクビ」は本当にあるのか?

 

では、就業規則に記載された解雇理由に当てはまれば、解雇を行うことができるのか? 就業規則の条文によくあるような「能力不足による解雇は「有効」なのかどうか?

これは、「能力不足」をどう判断するかにかかっています。能力不足で解雇が有効になるためには、いくつか考えなければならないことがあります。

  1. 労働能力が「著しく」劣っている必要があります。ほかの従業員と比べて、少しくらい劣っている程度ではダメです。「いつも勤務成績が下位10%内である」などという「相対評価もダメです(常に、下位10%に入る従業員は存在するので、それで能力が劣っている証拠にはなりません。「絶対評価」で行わなければなりません)。そして、その能力不足のせいで、「これ以上労働契約を継続していくことが、(客観的にみても絶対に無理でしょ!」という程度に劣っていなければなりません。
  2. さらに、その能力不足が向上するよう、会社は、「能力upの努力を行ったか?」も重要です。たいした教育や指導を行っていないのに、いきなり「解雇」は虫がよすぎます。
  3. そして、今後の指導・教育によっても、改善の見込みが極めて低いことも必要です。今後改善の余地があるようでは、解雇は認められにくいでしょう。

以上から考えると、「能力不足による解雇」は、極めて難しいのではないでしょうか? 御社がもし、能力不足による解雇を考えているのなら、「客観的な評価表」や「成績表」、教育や指導を行った証などを保存しておくことが重要です。

以上を踏まえて、あらためてお聞きします。

「御社では、能力不足による解雇を行っていませんか?」

image by: Shutterstock

 

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