一族大モメの事例も。遺産相続手続きで不動産名義変更をサボった結果…

 

そして、次に名義変更をしていなかったことを思い出す・発覚するのは、その家を引き継いだはずだった長男Aが亡くなったとき。長男Aの相続人である、Aの子どもが、名義変更をしようとして、名義を調べます。そこではじめて、父のものだと思っていた自宅の土地建物が、祖父の名前のままだったということを知るのです。

こうなると、色々な問題が出てきます。長男Aが相続することに同意してくれていたAの兄弟たちは、そのとき、元気なのでしょうか。誰か1人でも認知症等であれば手続きは困難です。また、状況が変わり、気が変わっているかもしれません。

更に、Aの兄弟であれば、Aと近い世代。すでに亡くなっている可能性もあります。そうなると、その方のお子さんたちの同意が必要になりますが、兄弟ならまだしも、イトコ同士となると、住んでいる場所を把握していない可能性も大いにあります。であればまず、どこに住んでいるのか探すことから始めなけばなりません。国際化が進んでいる時代です。もしかしたら、日本にいないかもしれません。

また、名義変更に、すんなり同意してくれるのでしょうか。「印鑑代」と言って、多額の費用を請求されるかもしれません。自分にも権利があるといって、土地の名義を一部ほしいと言われるかもしれません。

関係性はそれぞれなので、もちろん一概には言えませんが、関係性が遠くなればなるほど、関係者が増えれば増えるほど、全員の納得を取り付けて、スムーズに手続きを進めるということが難しくなっていきます

一番最初の段階で、すぐに手続きをしておけば良かったものの、期限がないからといって放置した結果、このように、次世代に問題を残すことになりかねないのです。

確かに不動産の名義変更は面倒です。依頼すれば費用もかかります。しかし、それを怠ったことで起きうる問題まで、想定できていたでしょうか。

期限がないから、特に急ぐ理由がないから、といって放置してしまうと、こうした問題が起きかねません。問題が起きてしまってからの手続きは、時間も費用も、余計にかかります。後々に問題を残してしまわないためにも、相続手続きは、できるだけ早い段階で、きちんと済ませておかれることをお勧めします。

image by: Shutterstock

 

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