創業者の反逆。セブン&アイの退任劇に見る、カリスマ時代の終焉

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5期連続で過去最高益を上げ、コンビニ業界で一人勝ちの様相といった感じのセブン-イレブン。その「育ての親」であり、カリスマ経営者として名高い、セブン&アイの鈴木敏文会長が引退を表明したことは大きな衝撃を与えました。無料メルマガ『ジャーナリスト嶌信彦「時代を読む」』では、鈴木敏文会長の引退を20世紀型のカリスマ時代の終焉を意味していると解説。カリスマなきリーダーばかりの現代社会の先行きを不安視しています。

セブン&アイの混乱に見るカリスマ時代の終焉

コンビニ業界のカリスマ、育ての親ともいわれたセブン&アイ・ホールディングス(セブン&アイ)の鈴木敏文会長が、突然引退を表明した。セブン-イレブンの井阪隆一社長の交代を提案したところ否決されてしまったのだ。

役員15人のうち賛成が7、反対6、白票2で過半数に1票足りなかった。無記名投票だったようだが、創業家の伊藤雅俊名誉会長(イトーヨーカ堂創業者)、社外取締役4人などが反対にまわったといわれる。コンビニ業界で絶大な力を持っていた鈴木氏が反乱にあい、退任にまで至ったことは経済界に大きな衝撃を与えた。しかもたった1票の差で鈴木案が陽の目を見なかったことは印象的だ。いかに深刻な対立があったかを匂わせる。

実はセブン&アイの業績は、この不況期にあって5期連続過去最高益を記録(16年2月期の営業利益は3,523億円)しており、うちセブン‐イレブンの営業利益は2,350億円(前期比5.2%増)と多数を占めている。井阪氏の社長歴は7年と長いものの、業績面では文句のつけようがなかったにも関わらず、鈴木氏が社長退任を迫ったのは「残念ながら今後のセブン-イレブンへの改革案がほとんど出てこなかったからだ」としている。

また鈴木氏がショックだったのは創業家の伊藤家や社外だけでなく社内役員からも反対がでたことだったようだ。鈴木氏は退任を表明したが、セブンの人事の混乱はまだ続くとの見方も多く予断を許さない。自他ともにカリスマを任じていた鈴木氏がたった1票の差で退陣を余儀なくされた心境はいかばかりだっただろうか。

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