マーケティングに興味のある方、業績アップに興味のある経営者、マネジャーは、絶対に読んでみてください。慎重派の方のために、エッセンスだけご紹介しておきます。
まず、エンターテイメント全体に占める映画の割合が、実は1割しかないという事実があります。世の中の人々の行動の平均値として、何かのエンターテイメントを10回楽しむとすると、映画のコンテンツを見ているのはそのうち約1回でしかないというデータがあるのです。圧倒的な9割は他のことをしているのに、映画ファンだけで1,100万人も集客できるわけがないだろうと
そのビジネスを左右する本質である「衝くべき焦点」を「ビジネスのドライバー」と呼びます(中略)ビジネス・ドライバーでないということは、その問題解決にどれだけ注力しても、ビジネスは好転しないということです
「良いものを作れば売れる」時代はすでに終わり、「売れたものが良いもの」という時代がやってきました
◆コントロールすべき消費者との接点
- 消費者の頭の中を制する
- 店頭(買う場所)を制する
- 商品の使用体験を制する
「売上金額」=「売上個数」×「平均価格」=
「消費者の数」×「認知率」×「配荷率」×「購入率」×「平均価格」
◆戦略の4Sチェック
Selective:やることとやらないことを明確に区別できているか
Sufficient:経営資源がその戦局での勝利に十分であるかどうか
Sustainable:立てた戦略が、短期ではなく中長期で維持継続できるか
Synchronized:自社の特徴を有利に活用できているかどうか
戦況分析を本気でやる理由は、市場構造に逆らって確実に失敗する「地雷」を避けるためです。そしてできればその市場構造を自分の味方につけられるような戦略がないかを考えるためです
◆既存ブランドが成長したい時に有効なコアターゲットを発見する6つの切り口
- ペネトレーション(もし自ブランドの浸透率を伸ばすための「空白地」を見つけることができたならば、それは有力なコアターゲットになる)
- ロイヤルティ(既存の使用者の中で「SOR=Share of Requirements」を伸ばせるグループはないか?)
- コンサンプション(既存の使用者の中で1回あたりの「消費量」を増やせるグループはないか?)
- システム(既存の使用者の中で使用商品の種類(SKU数)を増やせるグループはないか?)
- パーチェス・サイクル(既存の使用者の中で購入頻度を上げる〈購入サイクルを短くする〉理由を作れるグループはいないか?)
- ブランド・スイッチ(競合ブランド使用者の中にブランド変更の可能性の高いグループはないか?)
「一流のマーケターに要求される仕事は、値上げしながら個数も伸ばすこと」
「マーケターの仕事は、会社のお金の使い道や従業員たちのあらゆる努力を、消費者にとって意味のある価値に繋がるようにシフトさせること」
「マーケティングの最大の仕事は、消費者の頭の中に「選ばれる必然」を作ること、そのための活動を「ブランディング」と呼ぶ」
などなど、マーケティング名言が連発の内容です。一番すごいのは、本書を通じて行っているご本人のブランディングですが、マーケティングという仕事自体を売りに来ているのがすごい。
しかも、読み手を満足させるべくマーケティングのエッセンスをきちんと伝え、全体を網羅しているのです。
マーケティングの仕事、押さえるべきポイント、実務上の秘訣、さらに生きた事例。しかもその事例が、P&Gの事例や、東京ディズニーランドを破ったUSJの事例という…。
これが面白くないわけがありません。ぜひ立ち読みでもいいから読み始めてみてください。一気に引き込まれること、うけあいです。これはひさびさに「買い」の1冊でしょう。
image by: jannoon028 / Shutterstock.com
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著者はAmazon.co.jp立ち上げに参画した元バイヤー。現在でも、多数のメディアで連載を抱える土井英司が、旬のビジネス書の儲かる「読みどころ」をピンポイント紹介する無料メルマガ。毎日発行。
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