夏が近づくと準備を忘れてはいけないのが、「お中元」。相手の喜ぶものを吟味するほかに、もうひとつ気にしたいのが「添えるひと言」。ビジネスマナーの教科書『仕事美人のメール作法』では、仕事やプライベートで役立つ「お中元に添えるひと言」を4パターンに分けてご紹介!贈られる側のひと言も役に立つこと間違いなしです。
「お納めください」
お中元のシーズンです。日ごろの感謝をこめて物を贈る、贈られる機会が増えます。
今回は、贈り物をするときに添えたいひと言を紹介します。
先方に中元の品を送った連絡をメールでする場合。
「お中元を送ったので、受け取ってください」
事実を伝達していることに違いはありませんが少々、味気ない一文です。
「受け取ってください」を
「お受け取りください」
とすれば、もう少し丁寧になります。
さらに感じの良い言い回しとして覚えておくとよいのが
「お納めください」です。
「お中元(の品)を送らせていただきましたので、どうぞお納めください」
とすれば、文全体がやわらかく品よくなります。
「お中元」というほどのものではないけれど、ちょっとした贈り物を届けるという場合には「心ばかりの」を使うとよいでしょう。
「心ばかりの品ですが、どうぞお納めください」
のように伝えます。
「ご笑納ください」
先ほどの「お納めください」に関連するフレーズとして
「ご笑納ください」があります。
文字通り「笑って納める」ことで、人に贈り物をするときに
「たいしたものではありませんが、笑って受け取ってください」
という謙遜の意を伝える言い回しです。
「つまらないものですが、受け取ってください」と書く代わりに
「心ばかりの品をお送りいたしましたので、ご笑納ください」
のように使います。
食べ物を贈るときのへりくだった言い回しとしては
「ご笑味ください」もあります。
「実家で採れたサクランボですが、ご笑味ください」
のように使います。
弔事で香典やお供えを相手に渡すときは「笑」という言葉が使われている「ご笑納」「ご笑味」を使うのは抵抗があります。このような場合は
「どうぞお納めください」
「ご霊前にお供えください」
とする方がふさわしいでしょう。
「お口に合いますかどうか」
先ほどは、食べ物を贈るときのへりくだった言い回しとして「ご笑味ください」を紹介しました。
これに関連して、食べ物を渡す、あるいは送るときに相手の好みに合っていると良いのですが……という気遣いを伝える言葉として
「お口に合いますかどうか」があります。
「実家で作っている桃ですが、お口に合いますかどうか」
「広島で評判のお菓子をお送りしました。お口に合うとよろしいのですが」
のように使います。
相手に食べ物を勧めるときのへりくだった言葉としては
「お口汚し」があります。
粗末であったり、わずかなもので恐縮ですが……という気持ちを伝えるもので
「ほんのお口汚しですが、お召し上がりください」
「お口汚しにいかがかと思いまして、お持ちしました」
のように使います。
「これ、おいしいですよ!」「珍しいものですから、どうぞ!」とぐいぐいアピールする言い回しとは反対に、控えめに食べ物を勧める日本的な表現といえます。
「つまらないもの」
物品を贈るときに「つまらないものですが」という定番フレーズがあります。
したものではないのですが……という謙遜の意が「つまらないもの」という言葉には込められているのですが、これに代わるもっと感じの良い言葉はないでしょうか。
「心ばかりのもの(品)ですが」
「形ばかりではございますが」
はどうでしょう。
「心ばかりのものですが、皆さまで召しあがってください」
「形ばかりではございますが、お祝いの品をお送りしました」
「つまらないものですが」と必要以上にへりくだらなくても、「ほんの気持ちです」という心遣いが伝わる言い回しです。
弔事のとき、お供えやお花を送る場合も
「心ばかりでございますが、御花料を別封にて送付いたしました」
「形ばかりでございますが、どうかご霊前にお供えください」
のように使うことができます。
このほかに
「ささやかではございますが」
「些少ではございますが」
といった言い回しもあります。