ビジネスの場においては「差別化が重要」と言われ続けていますが、そうそう簡単に実現できるものではありません。成功を収めた企業はどのような手法を用いたのでしょうか。無料メルマガ『弁護士谷原誠の【仕事の流儀】』では、一時代を築いたNIKEの「エア・ジョーダン」や、現在でも新商品発売時には必ず注目されるアップル製品を例にとり、人が「似たような商品から選んで物を買う」というメカニズムを紹介しています。
何が人を動かすか?
こんにちは。弁護士の谷原誠です。
最近どの業界においても、事業を展開する際の課題となっていることとして「差別化」の難しさがあります。製品・サービス自体の内容・性能では差をつけにくく、新しい機能を持った製品等もすぐに追随され、価格競争に巻き込まれます。その中で顧客の支持を受け、選ばれるにはどうすればよいのか、というのは非常に難しい問題です。
私たちは、なぜ似たようなものの中から、最終的に特定の商品を選ぶのでしょうか。
もちろん、商品を選ぶ際の基準はいろいろあることは言うまでもありませんが、今回注目したいのは、売れる商品は、顧客の頭の中に「将来のイメージ」を描き出している、ということです。
私の学生時代、NIKEの「エア・ジョーダン」などのバスケットシューズ(バッシュと呼んでいました)が流行しました。NIKEのバッシュが、ほかのバッシュと機能的に大きく変わるところはないと思います。しかも、ほかのメーカーのものよりかなり値段が高かったのですが、なぜか無性にほしくなりました。
なぜ、あの気持ちが起こったかと考えてみると、私たちの頭の中に、シューズを購入し、履いている自分のイメージが、活き活きと描きだされたからだと思います。NBAのトップ選手を起用した、洗練された広告の影響もあり「この靴を買えば、明日から生活が変わる」と感じることができたのです。
もちろん、エア・ジョーダンを履いても、マイケル・ジョーダンのようなプレイができるようになるわけではありません。それどころか、そもそもNIKEのバッシュを欲しがっていた人の多くは、バスケをやっていませんでした。NIKEは、バッシュの主な機能である「バスケットボールをする際の使い勝手」以外のところで、顧客に豊かなイメージを持たせることに成功していたのです。
アップル製品が代表的。購買意欲をそそる「これを持てば最強」感