交渉中に相手が激怒。弁護士に学ぶ、決裂寸前からの「危機回避」術

 

まず、相手が感情的になっても、伝染しないこと。自分の心を落ち着かせることです。そして、とにかく理由を聞くこと。これにつきます。

「どこが話にならないのでしょうか」
「どこがナンセンスなのでしょう。私の理解が不足しているかもしれませんので教えてください」

と落ち着いた口調で質問します。質問は、その問いに答えるよう相手を拘束する効果があります。

実は、「話にならない」と拒否した時点では、相手のニーズもあいまいであることもあり、質問に答える過程でそのニーズが明確化してきます。その相手の答えからニーズを読み取り、要望がはっきりしない場合は、慎重に質問を重ねていきます。

質問を重ねていくと、最初は「とにかくダメだ」と言っていた問題が、金銭的な問題に集約されていったり、損害賠償等の交渉で、お金についてよりも「心から謝ってほしい」という本心が現れたり等々、ニーズが顕在化していきます。単純に、こちらの出した条件の内容を誤解していることが拒絶の原因であることもあり、実はそれほど互いの要望がかい離していなかったということもあります。

相手が感情的に高ぶっている時に、それを鎮めずに理性的な話を始めようとしても必ず失敗します。その突破口となるのが質問です。

相手の感情的な言葉を、理性のレベルに落とし込んで、話し合いの余地があるところまで持っていくことが質問の効果です。

自分の心をコントロールしながら質問により相手のニーズを聞き出し、それに応えられるかどうか自分の中で検討し、次のアクションを取るという適切なプロセスを踏んでいきましょう。

「もし自分が死にそうになって、助かる方法を考えるのに1時間あるとしたら、最初の55分は適切な質問を探すのに費やすだろう」 アインシュタイン

今回は、ここまでです。

image by: Shutterstock

 

弁護士谷原誠の【仕事の流儀】
人生で成功するには、論理的思考を身につけること、他人を説得できるようになることが必要です。テレビ朝日「報道ステーション」などでもお馴染みの現役弁護士・谷原誠が、論理的な思考、説得法、仕事術などをお届け致します。
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