堪忍袋の緒が切れた米国。露と戦争になれば日本はどうなるのか?

 

イスラエルの介入

この戦いにイスラエルも介入している。ゴラン高原でイスラエルはシリア政府軍を空爆で叩いている。シリア政府軍の多くはヒズボラであり、そのヒズボラを叩いているが、シリア領内である。このため、米トルコでのシリア内戦介入は、イスラエルも介入することになる。

スンニ派対シーア派の戦いが、スンニ派に米国、イスラエルが加わり、シーア派にロシアが加わり、米露の代理戦争にもなる危険がある。それと、ロシア空軍と米空軍が直接対峙することになり、今までの代理戦争とは違い、戦術核ミサイル使用にロシアが踏み切る可能性も出てくることになる。

核戦争を意識することが必要になる。「アラブの春」も「アレッポの人道」も人道的な問題であるが、それを欧米が掲げるとき、それ以上の被害が出ることになる。

欧米の理想主義が、戦争を拡大させ、地域の対立を激化させ、それでより多くの人を殺すことになる。欧米の死の商人が大きな稼ぎを出すことになる。

欧米の財政出動であり、それにより雇用を作り、景気を維持させる効果がある。日本の財政出動とは違う欧米の財政出動になっている。欧州諸国も安全保障費を上積みすることになる。景気対策になる。

しかし、危険が潜んでいるように感じる。ロシアのプーチンは欧米に一泡吹かせたい思いがあり、そう簡単に引き下がらない。本格的な米露戦争にならないか心配である。また中国が、どう出てくるのか興味がある。

国際戦略コラムは、リスクを指摘したいわけではないが、世界情勢をみると、多くの重大なリスクがあり、それに伴う大きな時代の転換点であることを思わざるを得ない

欧米の時代が過ぎ、民主主義より独裁主義の方が勢力を増しているようである。フィリピンのロドリゴ・ドゥテルテ大統領を見ると、その観を強くする。米国のトランプ氏もそのような大統領になるのであろう。

知識人の常識政治より、非常識な痴愚政治の方が問題を解決できると多くの民衆が期待しているようである。この民衆の期待を実現するためにプーチンは中東で戦いに参加したのであるが、戦いから引くことができなくなっている。民衆に勝ち戦を見せて、喜ばせる必要だけで戦っている。シリア内戦で勝ってもロシアには何のメリットもないからである。

いやはや、大変な時代になってきた。

さあ、どうなりますか?

参考資料:Rival Syria resolutions by West and Russia defeated at UN

 

国際戦略コラム有料版』より一部抜粋

著者/津田慶治
国際的、国内的な動向をリアリスト(現実主義)の観点から、予測したり、評論したりする。読者の疑問点にもお答えする。日本文化を掘り下げて解析して、今後企業が海外に出て行くときの助けになることができればと思う。
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