弁護士はこうやっている。交渉を上手く運ぶための3つのポイント

 

3.交換条件を用意しておく

合意を得るためには、相手にとって価値のある交換条件を提案するのが有効です。

再び門限の例で説明すると、親の「門限22時を守れ」という要求に対し、息子が「今度の中間テストで〇点を取ったら0時にして」と提案するといったことです。

2の第3案と異なることは、門限とテストの点数は、全く関係がないことです。しかし、親が「成績を上げてほしい」「勉強してほしいというニーズを持っている場合は、有効なものとなります。

交渉では、相手にとって価値の大きいものを自分が持っていると大きな武器となるのです。

交渉は物々交換と似ているところがあります。人類は、太古の昔、自給自足の生活であったと考えられますが、集落の余剰作物を、ほかの集落が持つ余剰と交換するようになったことから、一気に発展しました。そしてその後、市場で交換に使われる「もの」は、誰にでも価値がある貨幣に一元化し、物々交換の市場は小さくなっていきました。

交渉では、お金という単一の尺度も大切ではありますが、物々交換のように、自分にとって価値が高くないものが相手にとって重要であるというケースが非常に多くあります。例えば、自分にとって単なる飲み友達だった人を紹介することが相手のビジネスにとって非常に重要である場合などがこれに当たります。

こういったものを交換条件として差し出すことができれば、有利な条件で妥結できる可能性が高まります。交渉の前に、相手がほしいものを自分が持っていないか、必ず考えるようにしましょう

以上、交渉を妥結するための3つのポイントを紹介しました。これら3つに共通するのは、交渉では徹底して相手のニーズを考える姿勢が大切であるということです。相手のニーズを考えるということは、相手に妥協するということではありません。自分の得る結果を最大限にするために、相手のニーズを徹底的に探る必要があるのです。

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今回は、ここまでです。

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人生で成功するには、論理的思考を身につけること、他人を説得できるようになることが必要です。テレビ朝日「報道ステーション」などでもお馴染みの現役弁護士・谷原誠が、論理的な思考、説得法、仕事術などをお届け致します。

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