海外でも驚異の利益率。世界はニッポンの「MUJI」に恋してる

 

無印良品の海外展開は91年から始まりました。海外第1号店はロンドンで、リバティ百貨店と共同出資で「MUJI West Soho」を出店しました。衣服や文房具をはじめ、味噌や醤油なども販売しました。その後、ヨーロッパとアジアで出店を広げていきます。アメリカには07年にニューヨークに1号店「MUJI SOHO」を出店しました。フォークやナイフ、マットレスなど小型の高性能製品が好まれました。

海外展開で注視したのが投資回収性とブランドの維持です。投資回収性では特に家賃の売上高比率を重視し、10%以下になるような物件に入居することを旨としました。規模の拡大を目指すことよりも収益性を重視し、1店舗ずつ黒字化していくことでブランド認知を高める戦略です。

ブランドの維持では商品や店舗設計を全世界で統一して推進していきました。当初は、海外事業部が独自で商品開発や店舗設計を行っていたため、無印良品らしくない商品や店舗が次々と生まれていきました。チープなものが溢れブランドの毀損が生じていたのです。そこで、日本本社が世界で統一してブランド管理を推し進めていくようにしたのです。

無印良品の躍進の原動力は「シンプルで使い勝手が良いというコンセプトが消費者に受け入れられていることにあります。良品計画は消費者と共に無印良品を創り上げていきました。消費者起点のマーケティング戦略を推進しています。

良品計画は消費者起点で商品開発を行うために、01年に「モノづくりコミュニティー」をサイト上に開設しました。09年に「くらしの良品研究所」へリニューアルしています。インターネット上で消費者とコミュニケーションを図り、消費者と協働で商品やサービスを開発する試みです。消費者が欲しいと思うものを開発していきました。

例えば、消費者の「家をつくってほしい」という声から、03年から「家」をつくることを開始しました。同年にモデルルームを発表し、翌04年に「木の家」の販売を開始しています。もちろん、家だけでなく衣服や雑貨など幅広い商品を消費者と共に開発していきました。

消費者起点の商品開発は、海外の無印良品ではまだまだのようです。しかし、無印良品の世界観を壊さずに、世界中から集めた消費者の声を取り入れた商品を開発することで、世界市場でさらなる成長が望めるでしょう。良品計画の今後の世界戦略に注目が集まりそうです。

image by: TungCheung / Shutterstock.com

 

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著者/佐藤昌司
東京MXテレビ『バラいろダンディ』に出演、東洋経済オンライン『マクドナルドができていない「基本中の基本」』を寄稿、テレビ東京『たけしのニッポンのミカタ!スペシャル「並ぶ場所にはワケがある!行列からニッポンが見えるSP」』を監修した、店舗経営コンサルタント・佐藤昌司が発行するメルマガです。店舗経営や商売、ビジネスなどに役立つ情報を配信しています。
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