米ソ冷戦下で、空前の成長を遂げた日本経済
「冷戦」は、日本にとってどうだったのでしょうか?二つの側面があります。
まず、ソ連という巨大な脅威がいる。「核戦争で世界は破滅する」という恐怖が、いつでもありました。ゴルバチョフが登場した80年代半ばまで、そうだった。
一方で、日本は1950年から1990年まで、40年に渡って世界が驚く経済成長を果たしました。「日本に軍事力を持たせたくない」アメリカが、日本の安全を保証したので、日本は経済に専念できた。「属国」なのはその通りなのですが、実際日本は、「冷戦でもっとも恩恵を受けた国」だったのです。
冷戦は、1991年末、ソ連の崩壊で終わりました。日本経済の栄華も冷戦とほぼ同じ時期に終了。以後、「暗黒時代」に突入していきます。
トランプは、どう動く?
こういう歴史を振り返ると、戦略国家アメリカは、
- 仮想敵を定める
- 仮想敵以外の国々と和解する
という、極めて普通のことを、極めて普通にやっていることがわかります。オバマさんはこれを、8年の任期中6年間やっていませんでした。というか、「敵」を「見誤った」のです。GDP世界2位の中国ではなく、GDP世界12位(2015年)ロシアを「敵ナンバー1」と思ってしまった。それで、ウクライナ、シリアでロシアと「代理戦争」をしてた。
米ロが戦っているうちに、中国はどんどん強力になってしまいました。しかし、いつも書いているように2015年3月の「AIIB事件」以降、アメリカは変わりました。ようやく中国を「最大の敵」と定め、動きはじめた。
トランプはどう動くのでしょうか? 「常識的な動き」をするに違いありません。つまり、
- 中国を敵と定め
- その他の国々との関係を改善していく
その他の国々の中で、最重要なのが日本です。何といっても日本は、GDP世界3位。そして、親米国家でほとんど唯一「AIIB」参加を見送った。安倍総理の「希望の同盟演説」は、「AIIB事件」で落ち込んでいたアメリカに力を与えました。
そして、二番目に重要なのがロシアです。トランプが、「プーチン、プーチン」「ロシア、ロシア」と繰り返している。「プーチンが、アメリカ大統領選の結果を操作した」と言われても、「別に、俺が勝ったからどっちでもいい」という感じ。これは、トランプが「戦略的」に考えているから、そういう態度になるのです。
そして、トランプは、インド、ベトナム、フィリピンなどとの関係を、より強固にしていくことでしょう。オバマさんが嫌悪しているフィリピン・ドゥテルテ大統領についても、「彼のやり方は正しい」と言って、喜ばせています。