大切なのは、「大戦略レベル」での「一致」
これは何でしょうか? 日米間にも、いろいろ問題があります。しかし、「大戦略レベルの一致」があれば、他の問題は小さくなるのです。
たとえば、オバマさん。既述のように、2013年は、安倍さんにとても冷淡だった。しかし、2014年3月のクリミア併合以降、日米関係は改善された。これは、「米欧日で、ロシアを追いこむ」という戦略で、日本が必要になったからです。「靖国参拝問題」は、忘れ去られました。
2015年3月の「AIIB事件」後、日米関係はさらに大きく改善されました。ボンヤリ者のオバマさんですら、「最大の脅威は中国」であることに気がついた。そして、「AIIB」に参加せず、日米関係を「希望の同盟」とよぶ安倍さんの重要性がわかった。
ここにいたって日米は「大戦略レベルで一体化」したのです。トランプが、最初から日本に優しいのも、そういう理由です。
「TPP参加」を説得するな!
「大戦略レベル」で意見が一致すれば、他の問題は小さくなる。それでも、他の注意点もあります。たとえば、「TPP参加を説得するな」。皆さんご存知のように、トランプさんは、大統領に就任すると、即座に「TPP離脱」を決めました。「公約」を見事に守ったのです。
日本政府の中には、「TPPに参加するようトランプを説得しろ!」という人がいます。これは、要するに「アメリカ国民との約束を破るよう説得しろ!」といっているのです。もっといえば、「国民を裏切るよう説得しろ!」と。
トランプさんから見れば、こんな「うざったい」ことはないでしょう。是非やめていただきたい。
「TPPは、対中国で大事なのだ!」と主張する人もいます。そうかもしれません。実際、中国はTPPに強く反対していました。しかし、「対中国」は
- 日米同盟をさらに強固にすること
- インドとの関係を、さらに強固にすること
- ロシアと和解し、中ロ関係を弱体化させること
- ベトナム、フィリピン、オーストラリア、台湾などとの関係をさらに強固にすること
で十分です。わざわざややこしい「TPP」にこだわる必要はないのです。