いじめ被害児童の心の傷をさらにえぐる「第三者委員会」の存在

 

また、調査報告書をまとめるのに、3年近くもかかっています。こんなにも時間がかかっては、被害者側が訴訟をしようとしても、時効になってしまうこともありえます。いたずらに引き延ばしを図ったのではないかとの疑いさえ生じます。意図しなかったとしてもお役所仕事そのものであり、早急に結論づけるべき事案を遅らせることには、大きな責任が伴います。

以上、問題点をあげてみましたが、何といっても最大の問題点は、「いじめが原因ではないとしたことです。不登校の原因がいじめではないとするのなら、いったい何が原因だというのでしょうか。いじめ以外の原因で不登校になったと言うならば、その立証責任は当然あるはずです。単に否定するだけでは被害者側の申し立てを無視したにすぎません。いじめられていると勇気をもって声をあげた被害者をますます傷つけるだけです。

被害生徒は現在も「他人との関係に非常に敏感」で、月に1回精神科医の元に通っていると報道されています。いじめは被害者の心に深い傷を残します。

一連の記事の中では、札幌市の定時制高校に通う18歳の女子生徒についても紹介されていました。女子生徒は、2011年の中学入学直後から、悪口を言われたり、靴の中に画びょうを入れられるなどのいじめを受けました。担任等に相談しましたが、いじめと認めてもらえず、いじめは悪化するばかりでした。そのため不眠が悪化し、鬱の症状に悩まされて不登校となり、転校せざるを得なくなりました。

母親は道石狩教育局などに調査を依頼しましたが、「証拠がない」などと言われて、いじめの認定はされなかったとのことです。「人間不信になり、自分にも原因があると責めるようになった」と生徒は述べています。6年たった今でも将来が不安で苦しんでおり、睡眠薬や安定剤を服用していると報道されています。

どちらの事案も学校側のいじめへの対処に問題があります。簡単にいえば学校の隠蔽体質が原因だと言わざるをえません。学校側が真摯にいじめと向き合って、適切な対処をしていれば、被害者側が長期間苦しむこともなかったと思います。

このような子供たちの心の傷が早く癒えて笑顔が戻るようにと思います。学校側にいじめを認めさせるためにはどうしたらよいのか等いじめのご相談を承っています。お子さんのことで気にかかることがありましたら、ご遠慮なくご相談ください。

いじめから子供を守ろう ネットワーク
井澤・松井

image by: Shutterstock.com

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