40代サラリーマンをクリエイターへと進化させた「謎のロボ」

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無料メルマガ『クリエイターへ【日刊デジタルクリエイターズ】』にて掲載されている、ダンボールアーティスト・いわいともひささんのデビューまでのいきさつ。セルフブランディング重要性を説いた前回の続きということで、クリエイターとして仕事の幅を広げていくにはどうすれば良いのか、といったテーマについて大いに語られています。

調整する余裕すらなかった短納期対応

昼は会社員としての仕事、夜はダンボールロボットの組み立てに追われた嵐のような1週間が過ぎ、あとはダンボールロボットのテレビ番組への登場を見守るばかりとなりました。

納品前は本当に緊張感がありました。納品物は自宅からテレビ局まで車で運んだため、途中で事故にでも巻き込まれたら終わりです。

交通事故は他人の不注意によって起こることもありますし、車を運転しているときは気が抜けません。

ダンボールロボットを無事にテレビ局まで届けた後の開放感は格別でした。

驚いたのは、納品から2日後のテレビ番組収録に、ダンボールロボットが使われたことです。

テレビ局の担当さんには何度か同じことを聞きました。それは「もしも納品が間に合わなかったら、どうするつもりだったか」ということです。

「そのときは、うちのスタッフにも手伝わせましたよ」と笑顔のご回答でした。

20年以上も会社員として働いていたため、当然ながら納期の重要性は身に沁みて分かっています。

納期ギリギリになって期日が守れないことにでもなれば、多くの関係者に迷惑をかけますし、その分、余計な費用も発生します。

会社間取り引きであれば、担当者は元より、その人が所属する会社は、時間をかけて積み重ねた、お金では買えない「信用」を一瞬にして失います。

時刻表通りには動かない海外のバスや電車などを目の当たりにすると、日本人は厳しすぎるだろうとか思わなくはないですが、それが現実です。

納期に間に合わないことが濃厚になったら、速やかに関係各所に連絡して納期調整を行うなり、担当さんが言う通り、人海戦術で急場をしのぐなりしないといけません。

ただ、今回は元々十分な制作期間がないため、いきなりお尻に火が付いた状況であり、受ける側としては制作に取り掛かる前に納期交渉を行うか、最悪の場合はお断りするというのが無難なところでした。

もともと慎重な性格であることは、このような納期に対する考えからも読み取っていただけるのではないかと思いますが、このときは何とかしてやるという意欲が勝りました。

ここまではお仕事を受ける側の気持ち。お仕事を依頼する側の心境を想像してみると、これはもう本当に綱渡りです。

依頼する相手は趣味でダンボールアートを作っている会社員。会社名や営業であることなどはブログにも掲載していましたが、一度しか会っていない人のことなど詳しくわかるはずはありません。

友達としては良いけど、仕事をすると問題が出るということは良くある話です。

前回も書きましたが、番組は名古屋を拠点に活動する男性アイドルグループの初めてとなる冠番組で、テレビ局も彼らを力強く後押しする意向であると聞いていました。

担当さんや関係各位の度胸には頭が下がりました。ただ、テレビ局側も万が一のことを考えていなかったわけではないでしょう。

では何故、依頼できたかを考えてみると、恐らくは「修羅場に慣れていらっしゃる」ということではないかと思います(笑)

テレビ業界の深淵を垣間見たような気がしました。

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