パリ協定離脱で一番得をするのは?
トランプの「パリ協定離脱宣言」で損をする、あるいは得をするのは誰でしょうか?
一番損をするのは、これで「世界的に孤立する」アメリカです。「地球温暖化問題」の「真偽」はどうあれ、「パリ協定」には、「196か国」が参加している。アメリカは、ここから離脱することで、シリア、ニカラグアと同レベルになってしまう。結果、アメリカは孤立し、指導力は低下し、覇権を維持する力はどんどんなくなっていく。
ドイツ、フランス、イタリアの首脳は、「トランプと再交渉はしない!」と断言している。彼らは、「国際世論と道徳的正義はこっちにある」と確信しているので、強気でいられるのです。交渉を「門前払い」される国が、「覇権国家だ!」と威張っていることができるでしょうか?
そして、トランプの「パリ協定離脱」で最も得をするのが中国です。BBCニュース6月2日から。
パリ協定の合意を可能にしたのは何より、米中関係だった。バラク・オバマ米大統領(当時)と習近平・中国国家主席はお互い、妥協点を見出すことに成功し、そのおかげで欧州連合(EU)や小島しょ諸国を含むいわゆる「高い野心連合」の形成に成功した。
トランプ政権の発表を受けて中国は速やかに、パリ協定順守の意志をあらためて表明した。二酸化炭素ガス排出削減のためEUとさらに協力体制を強めていくと、近く共同声明で発表する。
欧州委員会のミゲル・アリアス・カニェテ気候行動・エネルギー担当委員は、「EUと中国はパリ協定を実施し、クリーンエネルギーへの世界的移行を加速させるため、力を合わせて邁進(まいしん)していく」と表明した。「誰も置き去りにすべきではないが、EUと中国は前進することにした」。
そして、EUと中国は、前進しています。6月3日毎日新聞。
EUのトゥスク欧州理事会常任議長(EU大統領)、ユンケル欧州委員長と中国の李克強首相は2日、ブリュッセルで首脳会談を開き、米国が離脱を表明した地球温暖化対策の国際枠組み「パリ協定」の履行に向けた協力を推進することで一致したと明らかにした。米国に次ぐ経済規模を誇る中国とEUが地球温暖化対策で先導的な役割を担う強固な意志を示した。
アメリカを抜かして、中国とEUが「先導的な役割を担う」そうです。嗚呼(涙)。この会談について朝日新聞6月3日。
EU首脳会議のトゥスク常任議長は共同会見で、「EUと中国は、気候変動の協力に関し、将来の世代に対する連帯と地球に対する責任を明示した。我々は米国が決めたパリ協定からの離脱は大きな間違いだと確信している」と述べた。
ユンケル欧州委員長も「米国の不幸な決定について、中国と同じ見解を持ててうれしい。中国とEUはパリ協定の実行に向けて進んでいく」と話した。
「EUと中国は、気候変動の協力に関し、将来の世代に対する連帯と地球に対する責任を明示した」そうです。EUと中国が、一緒になってアメリカを非難する…。なんという、悲しい光景でしょうか? しかし、その責任は、トランプさんにあります。