そもそも「ブラック企業」という概念は、いつ頃生まれたのか?

 

4.個人単位の独立採算制

時代の変化と共に、社会通念としての仕事観、会社観は変化する。様々な世代が混在する会社組織の中では、それが統一されていない。年長者が自分たちの若い頃の常識を、現在の若い世代に押しつけると拒絶される。価値観が違うのだ。

若い経営者のICT系企業は、楽しい会社を目指している。フレキシブルで居心地の良いオフィス。個人の生活を尊重し、個人の自主性を育てる。個人のキャリアアップを会社が支援する。副業や独立を認める。仕事を生活と対立させるのではなく、生活の一部として仕事や会社を位置づけようとしているようだ。

「会社は利潤を追求する機関」なら、どんなジャンルの仕事をしてもいい。フレックスタイムでも在宅勤務でも、利潤さえ上げればいいのだ。

独立採算制を突き詰めれば、事業部単位から個人単位の独立採算制になるだろう。但し、間接部門もあるので、収益の一部は全社的に配分しなければならない。

組織やマネジメントの問題も、自由にプロジェクトチームを作り、プロジェクト毎の独立採算にして、参加メンバーで配分するルールができれば、組織図すら必要ないだろう。

間接部門や中間管理職が増えることは、企業の競争力を低下させる。こうした役割は、AIが担うようになるだろう。

会社は、個人のやりたいことを発見し、それをビジネス化するための装置であり、人的データベースになればいい。副業が認められるならば、複数の会社の仕事をすることも可能である。一つのプロジェクトチームでは、月5万円の収入しか得られなくても、10のチームに所属すれば生活ができる。

旅行に行きたければ、旅行先で出来る仕事を提案したり、募集すればいいのだ。

個人は自分の生活を設計することが求められる。会社もそれを支援する。それが実現すれば、ブラック企業という概念は過去のものになるに違いない。

image by: Shutterstock

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