お箸の国の人だもの?日本人なら知っておくべき「箸」の深い歴史

 

嫌い箸(きらいはし)

ネットを検索していたら、台湾出身のVさんのブログに一つの箸体験が載っていた。

同じく台湾出身の同僚、日本人の同僚何人かで食事に。台湾出身の同僚と出た料理を交換しようと箸で渡し、相手も自然に箸で受け取ったら、日本人の同僚たちに睨まれたというのである。日本では不作法といわれる”(はし)渡し”である。これは、火葬(かそう)の後で死者の骨を拾うときに同じ動作をするので縁起(えんぎ)が悪いとされるのである。

嫌い箸(きらいはし)、忌み箸(いみはし)などといわれる箸の不作法な使い方。

箸王国の日本、箸にかかることわざ、言い回し、常套句も多いが、この嫌い箸も実に多いのである。それは、取り箸を使わず、直箸(じかはし)が普通の中国・朝鮮よりずっと多いのだろう。

子供のころ、食事中ふざけてそのような所作をした時、親や祖父などから、「これは◯◯箸といって、してはいけないことだよ」と、諭された記憶がある。そのように体験的には知っているのだが、改めて見てみるといろいろと興味深い。そのいくつかを紹介してみよう。

  • 指し箸   食事中に箸で人を指すこと。
  • 迷い箸   どの料理を食べようか迷い、料理の上をあちこち箸を動かすこと。
  • 刺し箸   料理に箸(はし)をつきさして食べること。              
  • そら箸   食べようとして食べ物を箸でとったが食べずに元にもどすこと。
  • 握り箸   箸をにぎりしめて持つ持ち方。
  • ねぶり箸  箸についたものを口でなめること。
  • 探り箸   汁物の中を箸で探ったりして好きなものを探り出したりすること。    
  • 重ね箸   一つのおかずばかり次々と続けて食べること。
  • 移り箸   いったん取りかけてから他の料理に箸を移すこと。
  • 涙箸    箸先や取った食物から料理の汁などをポタポタ落とすこと。
  • 持ち箸   箸を持った手で同時に他の食器を持つこと。
  • 寄せ箸   遠くの食器を手元に引き寄せるために箸を使うこと。
  • 振り上げ箸 箸を手の甲より高く振り上げること。
  • 落とし箸  食事中、箸を床に落とすこと。

まだまだあるが、心当たりある場面もなきにしもあらず。箸のマナー、小学校など家庭科の授業で指導されているだろうか。ぜひキチンと教えてもらいたい

image by: shutterstock

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団塊の世代以上には懐かしい郷愁の食べものたちをこよなく愛おしむエッセイです。それは祭りや縁日のアセチレン灯の下で食べた綿飴・イカ焼き・ラムネ、学校給食や帰りの駄菓子屋で食べたクジ菓子などなど。

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【著者】 UNCLE TELL 【発行周期】 月刊

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