家電で優先されるのは機能や性能ですが、それだけではありません。北欧のデザイン家電の魅力について語るのは、メルマガ『旬刊!ブログで言えない家電の話【神原サリーとゆかいな仲間たち】』の著者のひとりで、家電コンシェルジュの神原サリーさん。美しい北欧デザインで知られるオーディオ機器ブランド「バング&オルフセン」が発売したカジュアルラインのスピーカーがいかに魅力的か、愛を込めて熱く語っています。
バング&オルフセンのカジュアルライン『B&O PLAY』のこと
バング&オルフセンといえば、デザインの美しいオーディオ機器で知られています。白物家電が専門の私が黒物のことを語るのはお門違いかもしれませんが、今から15年ほど前にフリーランスになったばかりのころに担当した「デザイン家電の特集記事」で、このバング&オルフセンのことを知り、取材もしたことがあるので、なんとなく思い入れがあるのです。
ラジオメーカーとして1925年デンマークに生まれた同社は、60年代からデザインを担当することになった北欧を代表するデザイナー、ヤコブ・イェンセンを得て、機能美にあふれた先進的なデザインで知られるようになります。ちなみにバング&オルフセンという名は、創業者のピーター・バング氏とスヴェン・オルフセン氏からとったもの。前号で記事にしたミーレがツィンカン家とミーレ家による同族会社だという流れに少し似ていますね。
さて、このバング&オルフセンのプロダクトは、1972年にMoMAの永久保存コレクション認定されるなど、デザインの世界で確固たる地位を築いたわけですが、6枚のCDが1列に美しく並ぶBeoSound 9000は、近未来的なデザインで私の心にも深く残っています。縦にも横にも置けるという点もすごいなあと。この6連奏CDプレーヤーが登場したのが1996年で、その後TVドラマや映画で度々使用されています。ラグジュアリー感もあり、バブルの名残のような時期のインテリアとして憧れのようなものだったのですね。
価格的にも飛び抜けていたからこその憧れのバング&オルフセン、なんと2012年にカジュアルラインである『B&O PLAY』が誕生していたのですね。 スマートフォンとの連携を考え、Bluetoothを採用した小型スピーカーやヘッドホンなどのラインアップが充実していて、さすがバング&オルフセンの血が流れていると思わせる美しいデザインや、カラバリが魅力です。今、愛用している「Beoplay A1」という手のひらサイズのスピーカー。
これはデンマーク出身の若手女性デザイナー、セシリエ・マンツが手がけているそうで、丸みのある優し気なフォルムと品のあるカラー、そして本家のバング&オルフセンのサウンドを継承したクリアなサウンドに心躍ります。
バッテリー内蔵で最長24時間の再生ができ、マイクを内蔵しているので、ハンズフリー通話もできてしまうスグレモノ。600gという重さは、出張時にスーツケースに入れていくには少し重いけれど、休日に車で出かける温泉旅行にはぜひ持っていこうと思っています。
そうそう、『B&O PLAY』では、初めて特定の国・地域をテーマにしたコレクションを作ることを発表し、「日本」が選ばれたとのこと。9月21日から始まったばかりのAUTUMN WINTER 2017 COLLECTIONでは、SEEK SERENITY 「静寂を追い求めて」をキーワードに夜明けの富士、昼の渋谷、黄昏の九十九里、眠らない街 新宿からインスパイアされた限定カラーのモデルを発売しています。
私が気になるのは、シックなバイオレットの「Beoplay A1」。二子玉川にあるバング&オルフセンのショールームに美しく展示されているそうなので、近いうちにチェックしてこようと思っています。このライン、もちろん家電量販店でも販売されています。
それにしても、まだ家電業界を深く取材する立場でなかったころに「デザイン家電特集」に携わり、その後、デザインを含め五感に響く家電を「うふふ家電」と名付けて広めようとしているという流れに、なんだか運命というか、定められたお役目のようにも感じられてなりません。「人生に無駄なし」とはよく言ったものだと思います。(神原 サリー)
image by: バング&オルフセン公式HP