安倍首相の自己都合解散が生んだ立憲民主という政権交代の受け皿

 

立憲民主党を軸とした野党協力の可能性

いずれそのような分析が出て来るだろうが、野党がバラバラでなければ落ちたはずの自民党候補は相当な数に上るものと推察される。次の総選挙、それとどちらが後先になるか19年夏の参院選を遠望すれば、その時までにたぶん希望の党は分解して存在せず維新も衰退しているに違いない。

民進党はすでにほとんど破裂してしまっていて、残った参院民進党と今回無所属で立った人たちの中の良質な部分は立憲民主党に合流して、同党は路線を曖昧化することなく存在感ある野党第一党となっているはずなので、そこが軸となって社民、自由、共産の各党との選挙協力を改めて基礎から組み上げれば、自公vs立憲主導の野党統一戦線というはっきりした対抗軸が出来上がるだろう。

改めて思い起こすのは、94年12月に214議員を擁する巨大野党として新進党が結成されてマスコミが「保守2大政党制の時代来たる」と囃し立てたのに反発して、鳩山由紀夫・横路孝弘・菅直人・海江田万里各氏らが「リベラル」の旗を立てて96年9月に旧民主党を立ち上げた時のことである。翌10月の初めての総選挙で得た議席は52。それに対して新進党は156、自民党は239で、旧民主党は2大政党の谷間に埋没してしまうだろうとの見通しが盛んに語られた。

それに対して私は当時、「違う」と主張した。小沢一郎氏の「保守2大政党制で政権交代」というストーリーは筋が悪すぎる。旧保守か新保守のどちらかを選べなんて言われても国民は胸躍らないし、そもそもその座標軸では日本が抱えている問題は何も解決の道が見えてこない。最初は小なりといえども「リベラル」の旗を掲げて民主党が打って出ることで、必ず新進党は分解を始めるのだ、と。実際、同党は1年で崩れ始め、2年で分解してその良質な部分が民主党に合流し、最後にはとうとう小沢氏も流れ込んでくることになった。

立憲民主党は今回54、出来た途端に第2保守になるはずだった希望の党はガタガタになった。20年前より流れは速く、次の衆院選挙では同党が政権交代の受け皿となっている可能性が大きい。

image by: 首相官邸

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早稲田大学文学部卒。通信社、広告会社勤務の後、1975年からフリー・ジャーナリストに。現在は半農半ジャーナリストとしてとして活動中。メルマガを読めば日本の置かれている立場が一目瞭然、今なすべきことが見えてくる。

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