失われた教師の信頼。いじめ発見の半数がアンケートの絶望的状況

 

もう1点、考えさせられる情報として「いじめの発見のきっかけ」というデータがあります。これによると、約半数がアンケートにより発見されています。本人からの訴えが約2割本人の保護者からが約1割学級担任が同様に約1割となっています。

アンケートの重要さが浮き彫りにはなったのですが、学級担任からの発見が1割程度という事は、生徒一人一人に目を向ける余裕がなくなっているのではないかと心配されます。また、本人からの訴えが2割ということも、担任との信頼感が薄れているように感じます。それと、保護者らの訴えも1割程度にしかなっていないということは、本人が両親へなかなか相談しきれていないという現状もあるのではないでしょうか。

さて、前年度比1.4倍、32万件となった、今回のいじめ認知件数ですが、取手市で代表されるように、頑なに「いじめ」を認めない教育現場は、少なくありません。また、いじめ相談を受けても、放置しているという事例も、後を絶ちません。これらの事を考えると、実際のいじめ認知件数というのは、さらに膨大な数になるのではないでしょうか。

しかし、いじめの認定は大事なことではあるのですが、もっと大事なことは、いかにいじめを解決するかということではないかと思います。今回の情報では、加害生徒の保護者への報告が半数弱被害生徒への謝罪指導も半数弱という状況です。どちらの項目も、いじめ解決に当たっては、大切な項目です。

きちんと保護者に報告して、家庭と学校の両方で指導していくこと。自分が誤った行動をしたのなら、相手に謝罪するのは当たり前の事です。にもかかわらず、半数弱というのが現状では、学校のいじめ解決力もまだまだなのではないでしょうか。文部科学省も、数字の報告で終わるのではなく、この数字から問題点を洗い出し、次なる改善に進んでほしいものです。

いじめ問題に関しては、黙っていても学校が何とかしてくれるだろうと思っていては、解決しないことが多いのが現状です。アンケートを実施しても、いじめが発見されるのは半数にしかなりません。保護者の皆様も、積極的に行動し、学校と力を合わせて、解決していくことが大切だと思います。そうした中で、ご不明な点などございましたら、ご遠慮なくご相談ください。よろしくお願いします。

いじめから子供を守ろう ネットワーク
事務長 丸山秀和

image by: Shutterstock.com

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