学級崩壊の原因は教師にあり。なぜ優秀な先生は体罰を与えないのか

 

保護者から見た教師

教師には厳しい言い方になりますが、幼稚園や保育園、小学校や中学校、高校へと子どもを託して、子どもの発言や保護者面談を通して、教師と向かいあってきた保護者の視点から見れば、教師に力量の差があることは明らかです。

私が見た事例では、荒れた学級、崩壊学年の建てなおしができたのは、力量のある教師陣が転勤してきたことが最大の理由でした。あっというまにシフトを組んで、立て直し体制をとったことで、すぐに正常なクラスになりました。

優秀な先生方は怒りません体罰を用いません完全にアンガーマネジメントを体得しています。経験値も多く、指導に自信にあると同時に自戒の意識もあります。謙虚な方々です。教師間の連絡、報告、相談体制がとれ、教員同士に信頼関係があり、指導の目的を一致させています

かつて、教師は尊敬の的でした。今後もそうあってほしいと思いますが、学歴の差が激しかった過去の時代と異なり、高学歴で職業体験もある母親からも厳しい目で教師が見られている時代です。教師は高度な研鑽を通じて、自己覚知をして、つねに振りかえり、反省し、教育力、指導力をアップさせていく努力を怠ってはならないと思うのです。

保護者として気を付けるべきこと

一方で、保護者にも気を付けるべきことがあります。少子核家族化の現代では、子どもたちは基本的に欲求が充足され、友だち感覚の家族関係の家の中で、育っていきます。よほど規律重視でない限り、ぶつからないのです。

しかし、学校に入学したとたん、コミュニケーション上の様々な課題が浮かび上がってきます。その行動や発言が、その子自身の個性であり、魂の奥底深くから出てくるものであったり、また正義感やその熱情からくるものであれば、親は真剣に子どもを守るために腹をくくらねばならないでしょう。安直な「病院受診のすすめ」、「発達障碍というレッテル張り」、「投薬づけ」等には、一定の注意を払う必要があります。セカンドオピニオンを求めることも検討する必要も出てきます。大切なことは、「いじめや体罰から子どもを守るという強い決意です。

知り合いの太郎君(仮名)から、「中2の時に、実はいじめに遭っていた」と聞いたのは、大学生になってからです。いじめ不登校の親友をかばって発言したことが担任の不快を買い、その後、女性担任から、ねちねちと言われ続けてきたこと、その空気を読んで、成績不振の暴れん坊たちから暴行を加えられるようになったこと、しかも、周囲の友達も見てみぬふりをし続けていたということでした。教師の態度がこのような事態を招いたのです。

教師も人間です。好き嫌いがあり、時として「クレームをつける悪い生徒には体罰も然り仕返しも当然」と考えるかもしれないのです。

さらに、太郎君はテストの成績は一番でしたが、提出物の様態が悪いとして、かなり低い採点をされていました。気に入らない生徒なので、内申書を低くされたのです。太郎君について、「変わっている個性の持主だけれども、親として気が付いているところを教えてください」とレッテルを張らず、真剣に聞かれたのは、公立高校1年の最初の保護者会でした。高校の教育の結果は、大学受験合格の実績そのものです。この学校で強みを伸ばしてもらった太郎君は、のびのびと高校時代を謳歌し次々と大学合格をかちとりました。今、太郎君は、理系の大学院を卒業し、一部上場企業の技術者として、日本の最先端産業の屋台骨を支えています。

文部科学省の職員の皆様や教員で、このメルマガを目にしている方がいらっしゃいましたら、ぜひ聞いていただきたいのです。

自己保身を捨てさり徳力のある聖なる教師を育ててくださいそのような教師をめざしてください。失敗からも学び、失敗を成功に変えていく勇気をもってください。その教師は必ず尊敬されるはずです。

また、教育委員会は、たった一度の失敗で教師を評価するのではなく、経験からいかに学んだか、研鑽努力したか、多くの生徒の個性を伸ばしたかを評価する制度に改革してください、ということです。

保護者の皆様にも、申し上げたいと思います。子どもの善性を信じてその個性を解き放つことが親の使命である、と心得てほしいのです。子どもの未来を信じて、子どもや子どもたちを取り巻くこの世界が永遠に美しく光り輝くものとなりますように、願ってやみません。

教育委員会 スクールソーシャルワーカー 村崎京子
元教員、精神保健福祉士、社会福祉士 そして母親

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