アメリカ人に好まれるチャーチルの言葉
If you don’t make mistakes, you aren’t really trying.
(もしミスをしないのなら、それは真剣に物事に取り組んでいない証拠なのだ)
という言葉を紹介しましょう。
これは、コールマン・ホーキンスという有名なジャズミュージシャンの一言です。この言葉はビジネスでもよく引用されています。つまり、人はミスを繰り返しながら成長するものだという彼の言葉と同様の格言が、ビジネス界でもよくみられるのです。
確かに、アメリカ人はミスは仕方がないと思い、その原因追求にやっきになるよりは、むしろそれを踏み台にして未来に向かおうというスタンスをとります。
それに対して、日本人はミスに対して徹底的な調査を求め、責任の所在を追求します。意識がミスをおこした背景、つまり過去の検証にむけられるのです。確かに、日本人は本番になってミスがないように、まず充分すぎる準備と意識共有を図ろうとします。
しかし、しっかりと準備をして前に進もうとする日本型のビジネスマインドに対して、アメリカ人は、
To improve is to change, to be perfect is to change often.
(改善してゆくということは変化を受け入れること。そして、完璧であるということは変更を頻繁に行うこと)
と反論します。まずは行動だと彼らは思うのです。そして変化を繰り返し、試行錯誤を重ねながらビジネスを進めようとするわけです。
実はこの名言は、アメリカ人のものではありません。イギリスの首相として第二次世界大戦をリードしたウインストン・チャーチルの一言です。しかし、これはアメリカ人にとても好まれる一言です。
こうした彼らの発想に対して、日本人は「それはちょっと無責任だ」と反論するかもしれません。予定を変えたり、状況の変化に応じて対応を変えたりすることに躊躇しない欧米の人が、それでいて自らの立場を守るときは豹変し、contract is contract (契約は契約だ)といってアドバンテッジをとろうとします。
このメンタリティに対応しながら、どのように相手と Win-Lose ではなく、Win-Win の戦いに持ち込めるかが、海外でビジネスをする上で求められる交渉力なのです。それには、日本人が日本人のみと相撲をとっていてはだめなのです。
日本にも積極的に異なる発想や常識をもつ海外の人を受け入れ、海外の人との業務経験を蓄積する必要があります。
同時に、海外にもどんどん自らをさらけ出し、失敗の中からノウハウを磨いてゆく気概が求められるのです。
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