ミステリーショッパー方式で判明、医師の露骨な「手抜き」実態

 

ミステリーショッパー調査で分かった質

インドでは毎年50万人もの子供たちが下痢で死亡しています。しかし、インドのデリー市で行われた模擬患者によるミステリーショッパー調査研究では、医師を含んだ医療従事者のうち、約20%しか適切な問診を行っていなかったというのです。適切とされる問診項目は「子供たちの下痢便に血液や粘液が混ざっていましたか?」などの基本的なものでしたが、多くの医療従事者はこのような問診さえもやっていなかったのです。医師も含めた医療従事者への基本的トレーニングがもっと必要であるといえます。

各国のプライマリケアの質に対して、世界銀行が行ったミステリーショッパー調査研究では、さらに驚くべきことが判明しました。それは、医師や医療従事者たちが必要な検査や治療があることがわかっていても、しばしばそれらを実行していないということです。

インドでの調査では、約70%の医師たちが、狭心症や喘息、下痢に対する検査や治療について正しく答えることができたのにもかかわらず、これらの病気の典型的な症状を訴えてきたミステリー「患者」たちに対しては、約30%の場合でのみ適切に検査や治療が行われていたのです。

この知識と行動との大きなギャップの大きな理由は、医療従事者の責任感の欠如だろうとされています。ほとんどの患者は適切な検査や治療についての知識がないために、検査や治療をやらなくてもよいだろう、と医療従事者が手を抜いているケースが多いとされています。

一方で、ユニバーサルヘルスケアを達成している日本の外来診療では、基本的に出来高払い制なので、インドの外来診療とはちょうど逆のインセンティブがかかるので、不必要な検査や治療を過剰に行っているケースが多いと思います。過剰な医療も患者にとっては有害となりえます。世界共通の課題として、患者の健康アウトカムに対する医療従事者の責任感を向上させる政策が必要でしょう。

文献

Jishnu Das, Jeffrey Hammer. Quality of primary care in low-income countries: facts and economics. Annu. Rev. Econ. 6 (1), 525-553, 2014

image by: shutterstock.com

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