ゴミの分別ほどバカバカしいものはない…武田教授が明かす3つの悪

 

環境によく、負担する税金も減るもっともよい「ゴミの出し方」とは

家庭から出るゴミのもっともよい出し方(環境によく、税金も減る)は、「使い古しのレジ袋や段ボールに、すべてのゴミを入れて一つにして出し、自治体はできるだけ個別の家ごとに収集する」ということです。名古屋市はかつて「分別を徹底する大都市」として有名でしたが、現在の市長になって「市民のため」が徹底され、ほぼ分別なし戸別収集になっています。

ただ、ペットボトル、段ボール、金属類など「環境が悪くなっても税金が増えても俺たちのメンツが立てば」という環境運動家がペットボトルのリサイクルに固執し、お金になるその他のものをボランティアと称する人たちが集めている(お金になるものは自由にすればチリ紙交換のように、自宅まで取りに来て、トイレットペーパーぐらいは貰える。お年寄りで車のない人にとっては回収場所に持っていくのは大変)のだが、利権があるのでやめていない

日本は民主主義の国で、特定の利益をえる人に便宜を図る行政は望ましくありません。一刻もはやく「常識的で学問的な整合性のあるごみ行政」に変える時期です。

特に気になるのが高齢者に対する「残酷な仕打ち」です。

あと2年、2020年には0歳から50歳までの第一世代の女性と、50歳から100歳の第二世代の女性の人口が等しくなります。「高齢者」という呼び名は50歳以上の女性が少ない時の呼び方で、同数になると、「高齢者という言い方も失礼になるでしょう。

このように第二世代の人がどんどん増えているのに、ごみ行政は「家庭は、お父さんお母さん子供二人みんな元気車あり」というのが前提になっていて、坂の厳しいところでも自宅から離れたところにゴミを出しに行かなければならなかったり、自治体が間違って複雑な工程を持つPDF(ゴミの焼却方法)を選んだためにゴミにちょっとした異物があってもダメだったり、住民を教育するということでゴミ袋に名前を書かせたり(本当は行政より住民が上)、車がなければビン、カン、段ボールなどが出せないようになっていたりします。

ゴミというのは人間が生きている限りでるもので、しかも自治体のもっとも大切な仕事の一つが「ゴミを負担なく住民が出せるようにする」ということであり、それで給料をもらっているのを忘れています。アメリカが石油の輸出国になったことでもわかるように、シェールオイルの発見と実用化で石油の寿命は1,000年を超えていますし、焼却炉も改善されてゴミがあふれる可能性はなくなりました

それなのに、高齢者が痛い足を引きずって坂を上ってゴミを出したり、生活の中ででる汚いもの、人には知られたくないものをごみとして捨てようとすると「名前をかけ、そうしないともっていかない」というのはまさに「ブラック行政」です。

 

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中部大学教授の武田邦彦です。主に環境問題や資源に関して研究を行っております。 私のメルマガでは、テレビや雑誌新聞、ブログでは語ることが出来なかった原発やエネルギー問題に鋭く切り込みます。

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