そういえば最近見かけぬ「公衆電話」は災害時、本当に有効か?

 

でも、これだけ公衆電話が少ないと、子供に十円玉を持たせることが何の役に立つのか、ちょっとそのケースがピンときません。もし、子供が自宅から遠い場所で被災した場合、こんなに少ない公衆電話を探している場合じゃないですよね。もし、その状況になったら長蛇の列だと思いますし…。

しかも、かける相手がお母さんの携帯電話だったら、固定電話と違って、たぶんつながらないでしょう。むしろ、そういった場合、しばらくは連絡が取れないのは覚悟で、その場にいる大人に助けてもらって、とにかく無事生き残ることが何より大事ですから、それを教えておいた方がいい気がするのですが…。

公衆電話は、長く停電が続いた場合などに、心配している親族や友人に連絡をとる場合に有効な手段…そんな気がしました。とにかく、公衆電話の少なさに改めてびっくりです。しかも、商業施設等の中にあるものは、施設が閉鎖中は使えません。

公衆電話が気になっている中、先日、あの名作『東京ラブストーリー』がテレビで再放送されているのを偶然見ました。タイトルバックに流れる『ラブストーリーは突然に』にひかれて思わず画面を見入ると、都会の風景が映し出され、駅の構内に緑色の公衆電話が十数台並んで、皆がその公衆電話で一斉に誰かに連絡をしている場面が。もちろん、その中に、鈴木保奈美さんがいるのですが。

1991年に放映されたものです。何だか懐かしくて、その当時を思い出しました。ちょうど、ポケベルが普及し始めた頃です。ポケベルが鳴ると、電話をするために公衆電話を探したもんです。駅、停留所、公共施設、商店の軒先、どこにも公衆電話はあふれていました。公衆電話を探すのに苦労したことはなかったと思います。

それが、今、ほとんど姿を見なくなりました。携帯電話が普及した今、十円玉を何枚も持って公衆電話に並ぶことも、急いで家に帰って電話器の前で電話を待つことも、待ち合わせに会えなくて、不安な気持ちで待つことも、もうありません。

『東京ラブストーリー』はあの時代だったから成立した物語だったんだと、改めて感慨深く思いました。私たちは、あまりにも常に連絡が取れることに慣れ過ぎて、少しの間でも連絡がとれないと不安になりますが、あの時代は当たり前だったんです(そんな昔じゃないですよ)。

大災害のときには、連絡が取れなくても、それにばかり気を取られずに、それぞれが自分の力で、その場で生き残る覚悟を持つ、そんな心構えも必要じゃないかな…と改めて思いました。

image by: Raihana Asral / Shutterstock.com

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【著者】 廣田信子 【発行周期】 ほぼ 平日刊

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