中国にとってはどうでしょうか?習近平国家主席は表だって発言はしていませんが、今回の米朝間での協議の決裂は、月末までに開催予定の米中首脳会談の行方にも大きな影響を与えるのではないかと恐れているようです。北朝鮮の後ろ盾という立ち位置を、米中協議において活かせないということと、今度はトランプ大統領の外交上の攻めの矛先が中国に向けられることになり、米中首脳会談もかなり中国にとって厳しいものになりかねないと思われます。
実際に、トランプ大統領がベトナムに立つ直前まで高級事務レベルでの調整が行われていましたが、まだ米中間でも歩み寄りが必要なcritical issuesが山積しており、両国間の立場の溝は広いことから、来週以降のトランプ大統領の対中発言に戦々恐々としている模様です。そして、今回の米朝首脳会談がうまく行かなかった原因の一つとして、中国の過度な介入をアメリカが問題視しているらしいことも気になります。
「次回会合の予定がないこと」、「必ずdealを作って見せる」としていたトランプ大統領の顔をつぶしたとの意識、米国内で進むトランプ包囲網…これらが、トランプ大統領に“切り札”を切らせることにならなければいいなと望んでいますが、実際には軍事的なオプションがかなり現実味を帯びてきた気がしてなりません。
今回の米朝首脳会談の頓挫を受け、北東アジア情勢は一層緊張感を増してきたように思えます。