韓国で「クーデター」の声も。朝鮮半島を襲う「End Games」の結末

 

そしてもう1つは、決して終わることのない経済制裁が北朝鮮経済にとどめを刺す可能性です。すでにお話したとおり、どうも韓国による裏切り行為はあるようなのですが、北朝鮮の後ろ盾となっている中国もロシアも対北朝鮮の経済制裁については、国際社会と足並みを揃え、過去のケースとは一線を画す結果になってきています。

もちろん、北朝鮮の状況が悪化していると伝えられる度、人道的な見地から「人道支援を実施するべきではないか」との声は必ず挙がるかと思いますが、それをもしかつての様に北朝鮮が拒むようなことがあれば、それこそ本当にend gameになってしまいます。

そして、これまで軍事的な面でも協力しており、経済制裁下の共通の立場へのシンパシーからイランからの支援がある、と言われてきましたが、そのイランも、トランプ大統領から標的にされたことで、恐らく自国の経済を防衛することに必死で、北朝鮮にまで手は届かないでしょう。

多面的にKorean Peninsulaへの締め付け、End gameが進められている様子が垣間見られたかもしれません。

では、日本は? メディアや一部のグループからは「近々北朝鮮からSOSが寄せられた際、見放さないことで拉致被害者の問題が好転するのではないか」との論調が挙がっていますが、残念ながら、仮に助けたとしても期待するような結果はもたらされないと見ています。

しかし、その“期待の表れ”なのか、金正恩氏への秋波なのでしょうか。日本政府は今年3月、昨年まで11年間続けた国連人権理事会での対北朝鮮非難決議案の共同提出を見送り、拉致問題を巡る北朝鮮との対話実現へ一定の融和姿勢も示しています。 ですが、それが本当に正しい道なのか、様々な状況、特に周辺国および国際社会が進んでいる方向に鑑み、対処方針を再考してみることも必要ではないでしょうか。

今は、対北朝鮮制裁については国際社会と歩調を合わせて厳格に実施し、拉致被害者の問題については声を挙げ続け、その上で、すでに動き出しているEnd gamesの帰結に備えておくべきではないかと私は考えてみます。

皆さんはどうお考えになるでしょうか?

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世界各地の紛争地で調停官として数々の紛争を収め、いつしか「最後の調停官」と呼ばれるようになった島田久仁彦が、相手の心をつかみ、納得へと導く交渉・コミュニケーション術を伝授。今日からすぐに使える技の解説をはじめ、現在起こっている国際情勢・時事問題の”本当の話”(裏側)についても、ぎりぎりのところまで語ります。もちろん、読者の方々が抱くコミュニケーション上の悩みや問題などについてのご質問にもお答えします。

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