軍事アナリストが問題視。国民の生命を守れないヘリポートの実態

 

ビルの屋上だけではありません。私が関わっている新東名自動車道のサービスエリアのヘリポートも、多かれ少なかれ問題がありました。関係機関のヘリパイロット43人でチェックのための地上からのツアーを2回行った結果、誰が見ても明らかなほどヘリのローターが当たる位置に立てられていた風向きを教えるための吹き流しのポールを切ることから始まり、ヘリポート自体の位置をずらすことまで行わなければならなかったのです。

このときわかったのは、新東名を運用するNEXCO中日本だけでなく、静岡県、国土交通省航空局の担当者にヘリコプターを運用する基礎知識すらなく、コンサルティング会社に丸投げしていたという実態です。しかも、このコンサルもまたヘリの寸法に合わせたヘリポートを設計図に描き込むことはできても、ヘリの運用についてはまったく無知でした。日本中が「畳の上の水練」のオンパレードといってもよい惨状なのです。

はたして、これで国家の安全を図り、国民の生命財産を守ることができるのか、考え込まざるを得ません。いかに自衛隊が能力を向上させても、その活動を支えるインフラ的な部分が虫食い状態、白アリの巣のようになっていては、いかんともしがたい面があるのです。

国土強靱化というのであれば、こうした個別のテーマを丹念に押さえていき、その解決、改善のために税金を投入するのでなければなりません。(小川和久)

image by: kazpon, shutterstock.com

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地方新聞記者、週刊誌記者などを経て、日本初の軍事アナリストとして独立。国家安全保障に関する官邸機能強化会議議員、、内閣官房危機管理研究会主査などを歴任。一流ビジネスマンとして世界を相手に勝とうとすれば、メルマガが扱っている分野は外せない。

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