「やるべきことが多すぎて、いつも時間に追い回されている」。日頃そんなことを感じている人は、発想の転換をした方が良いようです。今回の無料メルマガ『弁護士谷原誠の【仕事の流儀】』では著者で現役弁護士の谷原誠さんが、とあるビジネスマンのエピソードを紹介し、時間管理のカギはどこにあるかをわかりやすく解説しています。
諦める勇気
こんにちは。弁護士の谷原誠です。
青年は、毎日一生懸命でした。
仕事は忙しい、将来の独立のために経営学の本も毎日読み進めている、今後英語ができないと通用しないので英語の勉強もしている、週末は家族との時間と決めている、人脈も広げたいので飲み会も積極的に出ているなどで、睡眠時間がだんだんと減ってきてしまいました。
だんだんげっそりとし、仕事や勉強の効率も落ちてきてしまいました。
青年の上司は、仕事ができて、かつ、いつも定時に帰っています。
青年は、思い切って、上司に時間管理の秘密を相談しました。
上司は、黙って青年の話を聞いていましたが、特に時間管理の方法を教えてくれることはありませんでした。
翌日、上司は、青年を呼び、「この資料を今日中に仕上げてくれ。あと、3日後の取引先へのプレゼン資料も今日中に頼む。それから、これと、これも今日中だ」と命じました。
青年は、驚いて、「そんなにたくさん無理です。せめて一つか二つにしていただかないと…」
すると、上司は、言いました。
「今の業務命令が、君が普段自分に課している命令だよ。私たちの時間は有限だ。やらなければならない、と思う作業がたくさんあったとしても、その全てをできるわけじゃない。自分が使える時間内にできる作業量を冷静に分析し、その作業に集中することだ。それ以外のことに手を出してはいけない。私が定時に帰ることができるのは、自分にできることとできないことを分類し、できないことは他人に頼むか、諦めているからだ」
私たちは、えてして、「あれもしなくちゃ。これもしなくちゃ」「あれもしたい。これもしたい」「でも、時間がない」と時間のなさを嘆きます。
しかし、いくら嘆いても時間は増えませんし、時間管理の技術で作り出せる時間は、たかがしれています。
その前にすべきことは、自分の能力を冷静に分析して、できることとできないことを分類し、できないことを諦める勇気ではないか、と思います。
今回は、ここまでです。
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