米国で成功した日本企業に共通する「変わり続けること」の重要性

 

あと、日本に観光に来た外国人が「どれだけ日本文化を愛しているか」というエピソード。これもよくメディアで見かけます。世界広しの中、あえて極東の島国に、好んで観光に来ている稀な人たちをケーススタディには使えません。来ている時点で、日本好き。彼らの意見だけを構築したデータはバイアスが、かかりすぎて、データとは言えません。ニューヨークでビジネスをするという前提において、何の役にも立たない。

知り合いの成功談にしても、成功しているから話すわけで、成功していなければ、話には出ない。聞こえてくることがない失敗体験談も、影に隠れていっぱいあるはずです。

その成功体験談も「ビジネス上、圧倒的な利益を出した」というステージではなく、「知り合いの知り合いがマンハッタンの路上でパフォーマンスしたら、地元のメディアが取材に来たらしいよ」とか、「彼氏のともだちが書いた絵を、ニューヨークのギャラリーオーナーが絶賛したって!」とか、そのレベル。中には「友達のアメリカ人は漫画ワンピースが好き!」ってレベルまであります。

マネタライズとはまったく無縁の武勇伝は、僕たちがコンサルタントする際には、参考にできません。地元のメディアはつねにネタを探しているし、僕の知ってるアメリカ人は、とにもかくにも、まずは「WOW!ItsGood!」が口癖です。

例えば、日本の和楽器集団が、ニューヨークのストリートでパフォーマンスをするとします。人だかりはできるかもしれない。まず、大前提として、街中の通行人の絶対数が世界でいちばん多い。分母の数でアドバンテージがある。特に珍しいもの好きで、刺激に飢えているニューヨーカーは、異文化の音楽に触れるため、集まってきます。

でも、それと、実際に、お金を払って、サービスやプロダクトを受け取る「ビジネス」では根本的に違います。極端な言い方、集まってみて、ガッカリしているかもしれない。半笑いで見に来ているかもしれない。

特に、無料のサービスやショー、サンプルが世界一充実しているニューヨークでは、よほどのことがない限り、興味本位だけでお金を払いません。彼らからキャッシュを引き出すことは、日本の人が思っているより、ずっとハードルが高い。

にも、関わらず、特定の日本好き外国人が出演している映像で、知人のその場限りの武勇伝で、「自社のサービスが、プロダクトが、ニューヨークでのビジネスで、お金を生む」と信じて疑わない。

まずは、僕たちは、クライアントのそこの認識から、白紙にしていく作業をします。「自信を持ってください。でも、安易に考えないでください」と。

もっとハッキリいうなら、「クールジャパン」なんて言葉、日本人以外から聞いたことがないよ、実は。

実際にアドバンテージがあるなら、ラッキー。でも、まずはアドバンテージなんてないと思うところから始めた方がいい。そこがスタート。僕たちは、まず、クライアントのマインドをそうリセットします。

print
いま読まれてます

  • 米国で成功した日本企業に共通する「変わり続けること」の重要性
    この記事が気に入ったら
    いいね!しよう
    MAG2 NEWSの最新情報をお届け